医者の父が息子に綴る人生の扉をひらく鍵 その9
「患者さんが目の前で亡くなるとき
医者はどう思うのだろう」
お医者さんに対して思う素朴な疑問ですね。
それに対して
「一言でいうと『慣れた』ということなのだろう
僕は、僕が担当した患者さんが亡くなることに
慣れた。
悲しみはいつまでも続かない。
お看取りをした翌日には、別の患者さんが
人生をかけた手術を執刀するからだ」
きっとそうなのでしょうね。
「泣くな、研修医シリーズ」ではたくさんの
患者さんの死に直面しますね。
そのたびに感情移入していたら医者の仕事が
できなくなるのでしょうね。
ふと30年以上前の証券マン時代を思い出しました。
株式の運用には常に損得がつきまといます。
お客さんの損を一緒に悲しんでいたら
まったく商売にならないのですね。
私も証券の新人のころかなり悩んだものです。
「吉田さんのせいで損させられた」
証券マンとしては、お褒めのような
「勲章」を浴びせられると、
ナイーブな私は、心折れたものです。
でも気がついたら、いつの間にかお客さんの損得について
何も感情も持たない自分になっていたのです。
「何だかイヤな商売だな・・・」
本当にそう思ったものです。
でも中山先生は
「自分の治療で治らなかった、生きさせてあげることが
できなかった」
という悔しい感情があるようです。
お医者さんとしての葛藤ジレンマなのでしょうか。
その点、証券会社は
「投資家の自己責任」
という金科玉条のような逃げ道があります。
「私はこの株がいいと思いますが、
最終的にはご自分で判断してください」
つまり、
「自分のアドバイスで損させてしまった、
儲けさせることができなかった」
とは絶対に思わないのです。
この点お医者さんとはまったく違いますね。
しかし、
「やめるな外科医」で亡くなった患者さんのお話は
実話なのですね。
山下弘子さんという方で、19歳で肝臓がんが
見つかり、闘い続けて2018年3月、25歳で逝去。
抗がん治療中に中山先生と一緒に富士山に登ったり。
こんなお医者さん本当にいるのですね。
本の最後の言葉
「雨野隆治、30歳。医者6年目。
人の死になんて、慣れない。」
この箇所は私は号泣してしまいました・・・。
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