わが投資術 市場は誰に微笑むか その6
リーマンショックをいかに乗り越えたか
この本で一番感動したところ。
まず気の弱いファンドマネージャーなら
それこそ自死してもおかしくなかったのでしょう。
前回で少し解説しなければならない点は、
自己資金を30億円もつぎ込んだところ。
証券ビジネスを知っている方、
それこそ金融機関にお勤めの方なら
すぐ「突っ込まれる」ところでしょう。
つまり、証券会社に勤めていていながら、
自分の資金を株に投資することは、
絶対にできないのですね。
これを「手張り」といって原則、証券取引法で
禁じられているからなのですね。
自社株の売買くらいなら許されるケースもありますが、
通常は「6カ月間売ってはいけない」など
社内ルールが厳格なのです。
しかし清原氏が運用していた
「プライべート・エクイティ・ファンド」の場合は、
運用担当者が、自己資金を入れることも
あるのです。
清原氏が行っていた、
「年金運用など機関投資家の世界」でも、
ヘッジファンドのファンドマネージャーなどに、
「自己資金を自らが運用するファンドに
どれくらい投資しているか否かを重視する」
らしいのです。
ただ、冷静に考えればかなり恐ろしいことなのですね。
証券マンがよくいう基本原則、
「投資家の自己責任」
つまり、「証券マンは一切責任を負いません」
の裏腹な言葉なのですが、
投資の責任をこれでは追うことになります。
このリーマンショックの時に清原氏は
運用会社のマーケティング戦略上でも
「私自身が自分の全財産を自分が運用するファンドに
入れました」
と強調できたはずです。
でも書きましたように、リーマンショック以降は
新規のお客さんを一切受け付けなかった。
その後、お客さんは本当に喜んだでしょう。
清原氏自身のその自己資金30億円が800億円にも
なったのですから・・・。
でも何度も書きますが、投資は結果から見たら
簡単なのです。
その時点での清原氏の気持ち。
失敗すれば破綻。金融業界では働きません。
意を決して、「全財産を投資したこと」を
奥さんに告げます・・・。
この時奥さんがどう答えたのか・・・。
この本の一番面白いところ。
(これは本書でぜひ確認してください)
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