値決めは経営
先週稲盛さんの名著「京セラフィロソフィー」をご紹介して、
久しぶりに読んでしまいました。
このウクライナショックや円安の影響で、あらゆる資材、食材が
値上がりしていますね。
これをどう価格に転嫁していくのか、今こそまさに経営者の責任、手腕なのです。
「『この値段なら結構です』とお客様が喜んで買ってくれる値段、
しかもその一番高いところを見抜く知恵、技術なのだ」
好きな箇所です。
今まで何度も読み返しました。
でもさらに読み直すと、また新たな発見があります。
「『値決めは経営なり』と私は言っていますが、それを決めるだけを
指すのではありません。値決めが経営の本質であるなら、
そのプロセスである、仕入にも責任を持ちます。
製造のコストダウンにも責任をもちます。」
「すなわち、値決めを行う瞬間に、もうコストダウンの方法を
考えていけなければならないわけです」
コストダウンの方法を考えずに、やみくもに値上げすることは
許されないのでしょう。
「円安だから仕方ない」
「食材が値上がったのだからしかたない」
と安易にあきらめてはいけないのでしょう。
もう一つ大事な稲盛さんの教え。
「『原価+利益』=売値という原価主義は取らない」
これも何度も読み返した箇所ですが、分かりますか?
「原価率・・%」でなければならないという考え方は
しないということなのです。
「つまり、売れる値段とは、マーケットが認めてくれる製品の価値
で決まってくる」
どういうことでしょうか?
昨日たまたま面白い番組やっていたので、それを例に説明しましょう。
「つぶれない店」という番組で、栃木県のサンドイッチの繁盛店が
東京進出するお話をやっていました。
お店のインスタからですが、 こちら
美味しそうですね。
栃木の獲れたてのいちごをふんだんに使ったフルーツサンドが
大人気なのだそうです。
いかにも、
「料理大好きな家庭の素人の主婦がたまたま当たった店」(失礼!)
という感じで、オーナーと称する女性が出ていましたね。
実に美味しそうなのですが、
「原価率はいくらですか?」
というMCの質問に
「50%超えることも・・・」
これ聞いて皆絶句ですね。
この原価率で、東京の高い家賃を払って
さらに人件費はとても賄いそうにありません。
番組的に面白くするために、
「天ぷらそばサンド」
というのも紹介していましたが、この定価650円。
プリプリのエビが入っていて、
「この原価いくらだよ!」
と突っ込みたくなるところ・・・。
一日80個くらい売れて大成功!という番組的には盛り上げていましたが、
650円で一個当たり仮に300円儲かって、そこから販売手数料払って
そうなると一日の利益はたぶん1万円くらいか・・・。
なかなか難しそうですね。
もちろん、東京では有名なサンドイッチ屋さんは当然多いのです。
写真は東京駅のエキナカで有名なメルシー。
東京でもフルーツサンドのお店はたくさんあります。
こういう繁盛店の中での勝負です。
「売れる値段とは、マーケットが認めてくれる製品の価値」
もっと美味しいサンドイッチにして、ブランド力を高め、
1000円出しても喜んで買ってくれ商品にするか、
さらなるコストダウンの方法も決めてから
進出しないと、絶対に勝てないということでしょう。
栃木のサンドイッチ屋さんも頑張ってほしいと思います。
料理の天才だと思うし、何より
本当に美味しそうですから・・・。
でもこれを参考に、価格転嫁で悩んでいる経営者は
「京セラフィロソフィー」を何度も読み返してください。
「値決めは経営・・・」
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