心 その3
盛和塾の設立のいきさつも書いてあります。
「27歳で京セラを立ち上げた当初、それまで一介の技術者にすぎなかった私は、
経営というものをだれからも学ぶことはできませんでした。」
「日本にある会社の99%を占めるといいわれる中小企業の経営者に
とっても、かつての私と同様、経営とはいかなるものか、
その本質を教えてくれるところはどこにもありません。」
これは中小企業の顧問税理士として本当に思います。
経営者は孤独です。
誰も経営ということを教えてくれませんから。
会社を独立した方なら分かりますが、それまでは「上司」という存在が
ありました。
辞めたとたんに、突然自分自身が「上司」になるのです。
その日から日々悩みながら経営しているのです。
「なら、顧問税理士が経営を教えたら・・・」
そう思うかもしれません.
でもおこがましいようですが、「税務の」顧問なのです。
「経営の」顧問ではないのです。
でも何か役に立てないか、常に思ってきました。
この「経営者本シリーズ」を10年以上続けているのは
そんな理由からです。
「自分は経営者に経営をお教えするのはまだまだ未熟者。
だからこそ古今東西の素晴らしい経営者の本をご紹介して
何か役に立ててもらおう」
そう思っているからです。
自分自身も必死に勉強してきました。
そんな中で、何度もこの稲盛さんの著作を取り上げているのは
心から素晴らしいと感じているからです。
特に「コレ」です。
「経営に大切な『心』のあり方とはどういうものか教えてくれる場は
ありません」
だからこそ、稲盛さんは盛和塾を立ち上げたのですね。
ただ残念ながら、2019年をもってその活動を閉じてしまいました。
設立から35年あまり、稲盛さん自身が語るように
「私はすべてを語りつくしました」
きっとそうなのでしょう。
本当に「生で」その薫陶を受けたかったと心から思います・・・。
京セラの開業時のお話。
これはいろいろな稲盛さんの本で出てきた名場面です。
「京セラの創業時、私は新規開拓のために部下を連れて、
会社の飛び込みセールスに駆けずり回ったものです。
しかし、実績も信用もない、無名の小さな会社が訪ねてきたところで、
十中八九は玄関払いです。
それでもあきらめずに、何度も頭を下げて何とか会ってもらう。」
ここだけ読んでも勇気がわきませんか。
「あの京セラも最初はそうだったのか・・・」
そんなことを教えてくれる経営者はいないですからね。
「ダメだと思ったときが仕事の始まりである。こんな状況だからこそ、
かならず打開する道はあると信じて、ひたすら進んでいく。
そのときに運命の扉が開くのだ・・・」
このコロナ禍こう思わないとダメなのでしょう。
部下たちにそう思わせるとともに、経営者自身も
そう信じ、心に深く刻んでいくのです・・・。
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