92歳総務課長の教え その3
この本で92歳の玉置さんに興味を持ったのも事実ですが、
やはり、もっとこのサンコーインダストリー社にも
興味を持ちましたね。
実に社員を大事にする素晴らしい会社なのですから。
会社の目標の一つに
「サンコーにしかできないことをやる」
まさに「92歳の社員がいる」ことの事実だけでも
「サンコーにしかできない」のでしょう・・・。
会社のお話しているとキリがないので
そろそろ玉置さんご自身のことにも触れますが、
「総務経理のお仕事で一つの会社で66年」
ということにまず驚きますね。
この66年間で総務経理の仕事は、「機械化」、「IT化」で
ガラッと変わってしまったはずなのです。
その流れに、玉置さんは果たして順応してくことができたのか?
これが経理の専門家として、まず「突込み」たくなります。
66年前の経理は、「手書き全盛のそろばん」の時代です。
玉置さんは商業高校を卒業されたとありますから、
簿記は当然勉強されたでしょうし、そろばんも必須だったでしょう。
しかも
「入社当時は社員10人ほどの小さな会社」
ということは「総務担当と言いながら何でも屋だった」
それがまず、時代の流れ「そろばんから電卓」への対応ですね。
書いてありました。
「オフイスに電卓が入ってきたのは1970年代のことです。
経理事務では何よりも正確性が求められますから、そろばんへの
移行も抵抗なかった・・・」
なかなか順応性のある方ですね。
さらに1981年に業界に先駆けて会社はパソコンを導入したそうです。
サンコーインダストリーは、やはりここでも進歩的な会社ですね。
その時、玉置さんは51歳。
ここで拒絶する経理総務担当者は多いのですね。
でも玉置さんは
「困惑するより『パソコンを導入したら、何がどう変わるか』という
ワクワク感の方が強かった」
なかなかです。
このいうチェレンジ精神持ち主は経理総務には、
普通少ないのですね。
私は中小企業の顧問税理士となって20年以上です。
経理の機械化を積極的に進めてきたつもりです。
実は、社歴の古い会社ほど、年配の女性経理総務担当は
多いものです。
そういう方々と私は戦ってきました。
「経理にパソコン入れると楽ですよ・・・。
会計ソフト入れると仕事がもっと楽になります・・・」
でもたいていは、古参の女性経理担当から反対されます。
「長年やってきたので問題ない。
きちんと手書きでもできる」
何よりも、
「パソコンを導入すると簡単に修正ができる。
不正が起きないように手書きが一番。筆跡で分かるから・・」
もっともらしいこと言って反対するのです。
経理という面倒な仕事を長年のノウハウで築き上げてきたのです。
それをすべて捨て、新しいこと、新しいやり方を覚えたりするのが
面倒なのです。
また機械化で仕事を奪われ、人員(当然自分も含む)を減らされることに
抵抗感を見せるのです。
そうなるとこのサンコーインダストリーのように
社長より「年配の総務担当」がいると、社長さえ反対できないのですね。
こういう「お局ね様」が仕切っている社歴の長い会社もまた多いのです。
ましてや社長自身がまったくの「機械オンチ」、「経理オンチ」だと最悪です。
この「お局ね様」が会社の成長を妨げる「マイナスの社員」とさえ
なってしまうのです・・。
でも良かったですね。
サンコーインダストリーがなぜ成長したか
ここにも秘密があると思うのです・・・。
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