永守流 経営とお金の原則 その8
「M&A成功の極意」
この本の中でとりわけ重要なところはこの箇所でしょう。
ご紹介した通り、日本電産は国内外合わせ67社ものM&Aを
やってきた会社です。
しかも67勝ゼロ敗。
ということはどういうことかというと、
買った会社を再建できずに破綻させたこともないし、
のれん代の減損処理に追い込まれたことは一度もないのです。
まさに、日本でナンバーワンのM&Aのノウハウを持っているのです。
いわば「日本一の再建屋」なのです。
ここで一般の中小企業が日本電産のように、
すぐに企業買収で拡大しようなどということは
無理かもしれません。
でもこのコロナ禍、インフレ、円安、ウクライナショックで
企業は完膚なきまでに叩きのめされているのです。
中小企業経営者なら誰でも
「企業をどうやって再建したのか?」
ここを一番知りたいと思いませんか?
再建するノウハウがあってこそM&Aなのですから。
日本電産が初めてM&Aを実施したのは、創業して10年あまりが
経過した1984年。
私が大学を卒業して某野村證券に入社した年ですね。
よく覚えていますが、M&Aなんて事案がまだまだあまりなかったように
思います。
野村證券もその頃「野村企業情報」いうM&Aの会社を作って
手掛け出したころでしたね。
後藤光男さんという業界では有名人(いろいろな意味で)が
社長を務めていて、研修の時にしか顔をみたことがなかったですね・・・。
その「野村企業情報」は野村本体が吸収合併したと聞いています。
そんな状況だから、
「日本の銀行員の多くは当時、M&Aが何なのかも十分に
理解していなかったようだ」
まあそうでしょうね。
ましてや地方銀行の京都銀行にそんなノウハウがあるはずが
ないでしょうから、ここでも京都銀行と戦ったのでしょう。
「M&Aは成長のための時間を買う戦略である。」
確かにそうでしょうね。
でもハッキリ書いてありました。
「M&Aほどリスクが高い投資はない。」
「ベンチャー企業はどのタイミングでM&Aの戦略に
動けばよいか?」
よく上場公開した新興企業が、増資であまったカネで
中小企業を買いあさるようですが、これをハッキリ
批判していますね。
「少なくとも相手企業より、収益性や財務の健全性など
総合的な力が上回っていない状態では厳しいだろう。
例えば、営業利益率が10%前後に達し、安定して利益を
出せるようになってから動くのが望ましいい。」
次が重要です。
「とりわけ重要なのは買収後の統合作業
(PMI ポスト・マージャー・インテグレーション)」
「経営が悪化した企業をM&Aで傘下に収めた後も、
相手先の従業員を解雇せず、意識改革によって経営体質を
改善させて再生する手法をとっている」
本体の経営に余裕がないと十分な経営再建はできないから。
「M&A成功の3条件」
これも参考になりますね。
① 価格
② 会社のポリシー
③ シナジー
特に①価格 なんだそうです。
税引前利益に支払利息や減価償却を加えた金額
(EBITA)Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization
が10倍を超えるものには手を出さないと決めている。
勉強になりますね。
「日本のM&Aの価格は高すぎる」これも批判しています。
日本で最高のM&Aのプロに言わせたら
買収価格は利益の10年分までなのだそうです・・・。
ご自分の会社がいくらで売れるか計算してみてください・・・。
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