倒産寸前だった鎌倉新書はなぜ東証一部上場できたか その1
またタイトルにつられて「amazon衝動買い」。
でもなかなか参考になりましたね。
「コロナ後はどんなビジネスが・・・」
と連休中ずっと考えていましたが
その答えを教えてくれたようでした。
「終活ビジネス」をじっくり考えることができましたから・・。
今回の主役、清水祐孝氏。1963年(昭和38年)生まれ。
慶応大学商学部卒。
まず「鎌倉新書という会社の説明から。
社名に「新書」と付くくらいですから、もともとは出版社でした。
1984年(昭和59年)に(私が野村証券に入社した年!)
豊島区の片隅で、現在のCEO清水祐孝(ひろたか)氏の
父親である清水憲二氏が「仏教関連書籍専門」の出版社として
創業しています。
私も豊島区池袋生まれですから、地域柄良く知っていますが
豊島区には零細の出版社が多いのですね。
でも申し訳ないですが、出版業界は当時も今も「斜陽産業」でした。(失礼!)
その後世の中が、一気にネット化、IT化されるにつれ
「出版不況」の波をもろに受け、きっと経営は苦しかったのでしょう。
創業して6年後、国際証券(現三菱UFJモルガン証券)に勤務していた清水氏が
鎌倉新社に入社します。
社員は4名ですが、唯一親族ではなかった社員が
この頃に退職してしまいまから、
想像ですが、社員に給料を払う余裕もなかったのでしょう。
その頃の売上は4000万円。
それに対して借金が8000万円もありましたから。
「出版の印刷に関わる費用が払えぬまま何年も
滞っており・・・」
と記載されていたので、たぶん債務超過で
いつ倒産してもおかしくなかったのかもしれません・・・。
「日々の食い扶持を稼ぎ、もう一方でわずかづつ借金を
返済する・・・・」
『何とか逆転する方法はないものか?』
この不毛スパイラルの状況から抜け出すために、
今まで気づかなかったビジネスチャンスや新たなアイデアはないだろうかと
朝から晩まで頭をフル回転させていた・・・。
この清水氏はなかなかのアイデアマンだったようです。
この表を見て驚きました。
この表だけでも、ぜひこの本で確認してください。
コロナ後のビジネスチャンスがこの表にあります。
1990年といえば今から30年以上前のお話です。
厚生労働省の人口動向統計によると年間の死者数は
82万人強です。
その清水CEOの先見性は見事に当たりました。
現在の1922年では年間140万人にも
上っているのですね。
現在「少子高齢化」ということが盛んに叫ばれていますね。
私もこのブログでもこのテーマでも何度も取り上げています。
でもこの言葉自体でも、2000年過ぎてくらいからです。
「多死社会」
とうキーワドも「少子高齢化」とペアで今後言われるのでしょう。
当時年間80万人が亡くなるとしたら、
葬式の一回当たりの費用を150万円とすると
「年間1兆2000億円のマーケット」であると
気が付いたのです。
ただ、そこで今の出版社から「葬儀屋」になろうとは
思わなかったのですね。
ここ大事なところです。
「新規事業」と称してある日突然
「まったくやっていなかったことをやる」
のは、実は大変リスクがあるのですね。
今まで、鎌倉新書のベースとなっていたビジネスモデルは
「寺院や仏壇仏具店に向けての専門性の高い出版物をつくること。
すなわち『B to B』
これを
「供養事業者の先にいるエンドユーザー向けて、
直接コンテンツやサービスを売る『B to C』」
に転換しようと考えたのです。
もっと分かりやすくいえば
鎌倉新書を「出版社」ではなく「情報加工会社」という
位置づけにはならないかと考えたのですね。
当然、背景としては1990年代から普及し始めたインターネットの活用。
今流にいえばDX(デジタル・トランスフォーメーション)への
第一歩なのでしょう。
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