渋沢栄一と論語と算盤 その2
ところで、そもそも「論語」とはどういうものでしょうか。
論語は、中国の春秋時代、紀元前500年くらいですから、
今から2500年も前に、孔子の死後にその弟子たちが記録した書物
なのですね。
それを渋沢栄一が取り上げたのです。
「人の世に処せんとして道を誤らざらんとするには、
まず論語を熟読せよ。」
これは「論語と算盤」のいの一番に出てくるものです。
「生きるうえで、道を踏み外さないためには『論語』を熟読しなさい」
という意味です。
論語を熟読して、精神の柱として日々実践していくことが大事、
大きな成功より道を踏み外さないというこの方が大切。
商売もただ儲ければいいというのでないということも
ここから分かりますね。
でもここまでで、論語を読み込んだ人がどれくらいいるのか。
私も「無駄に」人生を生きてきて、論語を読んだことが
なかったことを反省しました・・・。
でも渋沢栄一は、その論語を読み込んだうえで、
「論語は商売を否定していない」
と気がつき、さらに、
「論語で商売ができないか」
「その教えに従って商売をすれば、利殖を図ることができるのではないか」
そう思ったそうです。
これは「論語と算盤」の冒頭にこんな絵が出てきます。
題名の通り、「論語とソロバン」が描かれていますね。
さらにシルクハット、刀のサヤが描かれています。
これは渋沢栄一が70歳になったときに、学者の三島毅氏から
言われ、この題名を思いついたそうです。
「算盤」とは、商売、経済ということです。
2500年前の中国の古典を経済活動の一つ一つに
当てはめていったのですね。
もちろん、渋沢栄一流の解釈です。
しかし、こんな経営者はいませんね。
因みに、ビルゲイツも「孫子」を読んで、ビジネスを勝ち抜くヒントを
得たそうです。
またマキャベリの「君主論」も人間関係の指南書として
読み続かれています。
NHKの大河ドラマ「青天を衝け」で、
大蔵官僚を辞めて、民間による銀行設立をします。
三菱財閥を作った岩崎弥太郎のように金儲けをするためで
ないと申し上げましたね。
「論語の精神をもって実業界の地位を上げる」
ためだったのです。
「論語で一生を貫いてみせる」
とまで言い放ったのです。
渋沢栄一が考えた「経済によって成り立つ国家」ですね。
江戸時代までは「士農工商」と言われ、明治の時代でも
「官尊民卑」の世の中だったのです。
それを民の経済力で国家のバランスを取ろうとしたのですね。
大蔵官僚を辞めた理由を、斉藤先生がハッキリ書いてありました。
これまさにNHKの大河ドラマ通りですね。
「財源を度外視して予算を組みたい」大久保利通や大隈重信に対して、
財政規律を守りたい渋沢栄一らは反対したからなのですね。
ここで現代の政治のお話をしたくないですが、
「財源を無視してバラまきたい」政治家は多いですからね。
大蔵官僚(今なら財務官僚?)を辞めて政治家になる
令和の渋沢栄一を国民は待っているのでしょうね。
「論語で一生を貫いてみせる」というような気概を持った政治家を・・・。
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