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2021年8月31日 (火)

ソニー再生 変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」 その9

平井氏が社長になってから、2014年2月に、大きな決断を下します。

赤字が続くエレクトロニクス部門のテコ入れとして、

パソコン事業の売却とテレビ事業の分社化、さらに

5000人規模の人員削減を断行します。

 

この本で一番読みたかったところは、この「VAIOの売却」のくだりですね。

「どうしてVAIOを売却したのだ!」

ソニー製品の愛好家は多いです。取りわけVAIOに愛着のある

ソニーファンはもっと多かったと思うのですね。

売却した理屈と言い訳を長々と書いてありましたが、

「エレクトロニクスを知らない社長が売ってしまう]

ことに各方面から痛烈な批判が寄せられたと、正直書いてありました。

ソニーの歴史の中で、成長した事業を売却するのは初めてだったからなのです。

特にソニーOBからも辛辣な攻撃。

「昔はよかった」とか「エレクトロニクスを軽視する経営はけしからん」

というものから、ズバリ「経営陣の退任を迫るもの」もあったそうです。

 

「そんなノスタルジーがソニーを今のような会社にして

しまったんじゃないか」

 

「いい訳や愚痴はなし。経営者は結果を出さなければならない」

 

どうでしょうか。

リーダーとしての覚悟、そして責任感。素晴らしいですね。

 

ただ、リストラされた社員から記念写真をせがまれた記述の個所。

「実は僕はバッテリーの開発をやっているのです。

つまり売却されてしまう対象なのです。」

ここは泣けましたね。

リーダーとしての孤独感も感じますね・・・。

 

しかし、

「エレクトロニクスを知らない社長」

という辛辣な批判は、社長就任後からずっと平井氏を苦しめたでしょうね。

 

何度も書きますが、ゲームの会社の子会社から社長になったのですからね。

上場企業では通常あり得ないお話ではないでしょうか。

 

私が経験した某野村證券では子会社の社長が本社の社長に

なることは、まったく考えられなかったですね。

分かりやすく言うと、半沢直樹ですね。

 

20210831-082709

 

半沢直樹はヘマをやって子会社の東京セントラル證券に飛ばされましたね。

昔の子会社とは通常そういう位置づけですからね。

東京セントラル證券の社長が、東京中央銀行の頭取になることはあり得ないのです。

 

20210831-082620

 

親会社の社長になれなかった副社長が子会社の社長に

転出する・・・。

昔はそういう転出も、

「サラリーマン出世すごろくの裏のあがり」だったのですね・・・。

 

しかし、この平井氏のグループ戦略はまったく違います。

副社長に抜擢した、現社長の吉田憲一郎はすごい方ですね。

当時それこそ子会社のソネット社長だったのを説得して

副社長になったそうですね。

「私はイエスマンにはなりません。好きなこと言わせてもらいますが

それでもいいですか?」

副社長受諾の条件だったそうです。

この吉田氏とともに、ソニーのグループ戦略を変えていきます。

今年の4月からソニーは「ソニーグループ」になっていますが

これも吉田氏の発案だそうですね。

「事業ごとに分社化してそれぞれ異なる財務目標を課す」

戦略に子会社を変えたのです。

昔の「子会社は天下り先」みたいな発想は当然ありませんからね。

 

こうして平井氏は冒頭書きましたように、史上最高益で

ソニーを復活させます。

しかし、任期6年の56歳ながら、社長を吉田氏に任せて退任してしまうのですね。

 

「こうして私はソニーを卒業した」

「ビジネスの世界から身を退いたつもりだ」

 

今後チャリティー活動をするそうですが、正直もったいないと思うのは

私だけでしょうか。

しかも、同級生が引退と聞くと本当に寂しい限りです。

 

私もまだまだ頑張るつもりですから、またどこかでカンバックしてほしいですね。

変革を成し遂げてほしい会社は、このコロナ禍の日本にはたくさんありますから。

 

とりあえず、政治家にでもなってほしいですね。

旧態依然の派閥にしがみついたイエスマンばかりの政治家をぶった切って、

日本を再生させてください・・・。

 

(ガンバレ! ソニーシリーズ おしまい)

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