小説8050 その1
たまには毛色の変わったものをご紹介しましょう。
いつも会計や経営のことばかり考えていてはダメなのですね。
幅広い知識も時には必要でしょうから。
話題の小説ですね。
この本の著者である林真理子さんの本は
正直あまり読まないのです。
たまに雑誌でエッセイを斜め読みするくらいです。すいません。
ただ今回は「8050問題」と聞いて飛びつきました。
実はこの問題は仕事柄最近よくお聞きするからなのです。
日ごろから給与計算で扶養家族の把握をするのが仕事です。
家庭内の非常に秘密事項なのですが、
ご家族内の子息の氏名や生年月日をお聞きすることは当然あります。
税金の計算で一番大事なところですが
「お仕事はされているのですか?」
扶養かどうか把握するために、必ず聞かざるをえないのです。
「お仕事されていないのですか・・・」
とお聞きしていながら、そのまま何年も・・・。
ということが実際よくあります。
「8050問題」と言われるように
そのまま「親が80代で子が無職の50代」という
ご家庭も出てきています。
もちろん守秘義務があるので、これ以上特定されるようなお話は
できませんが、かなりの確率でさまざまな家庭内の問題に
なっているようです。
「ひきこもり」
という一言でかたずけられない問題が内包されていると
思っております。
ではこの小説の家庭なのですが、
親が2代目の歯医者さんという
比較的経済的に恵まれている家族の設定。
子供が有名中学に入学するものの、中学2年生のときにいじめにあい、
不登校に。そのまま7年間も「ひきこもり」になったというお話です。
ですから、引きこもりの子供が20代で親が50代くらいですから、
「8050問題」ではなく、「5020問題」なのですね。
しかし、その原因となったいじめに真正面から取り組み
裁判にもなります。
これ以上はネタバレなのでアップしませんが、
「ひきこもり」について焦点を当てた小説なのです。
読んでいて非常に気持ちが暗くなりますが、話の展開が小気味よく
一気に読めてしまいます。
冒頭、近所の家で90歳の母親が亡くなった場面が出てきます。
息子は何もせず親の年金をあてに暮らしていたのです。
髪の毛が伸び放題のジャージ姿の肥満した男が
家賃滞納で強制執行により執行官に連れ去られます。
近所の方から声が聞こえます。
「8050っていうやつだね。
年とった親の年金目当てに引きこもりの子供が
べったりくっついているというやつ。」
歯医者の妻がつぶやきます。
「あれって、うちの30年後の姿なのよね。」
やはり「5020問題」ではなく、まぎれもなく「8050問題」なのです・・・。
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