誰も教えてくれない「役員社宅」による節税策 その4
では、國分社長の会社が10億円で高級住宅地1000㎡の土地を買って
豪邸を建てた場合を考えてみましょう。
土地代含め総工費10億円ということですが、
いったい土地代と建物はいくらでしょう。
そこが税金の計算では大事ですね。
ブログで適当なことは書けません。
國分社長のご自宅の路線価まで調べてみました。
平米あたり41万円です。ここは税理士ですから得意なのですね。
1000㎡で4億1000万円。
でもそれは路線価と言って相続税評価額なのですね。
時価はもっと高いです。
よく言われるのは、「路線価は時価の8割」。そうすると5億1250万円。
でも場所もよいしまとまった土地。春の桜が見事な場所ですから、
高級マンション専門の業者なら喜んで買う土地ですからね。
ということで土地代7億円。建物3億円と勝手に査定しました。
ここで大事なお話ですが、土地代は会社で購入しても
まったく経費になりません。
建物が減価償却費として経費になるだけです。
鉄筋コンクリートの立派な豪邸ですから、耐用年数47年。
償却率0.022ですから3億円だと660万円減価償却費ですね。
でもそれしか年間の経費になりません。
しかし、ここで大問題が発生します。
國分社長はこんな豪邸をタダで住むことにしたら
税務署が必ず文句言ってくるのです。
そうなのですね。
ここで「家賃」という大問題です。
ここがポイントなのです。これを理由に
役員社宅が毛嫌いされるのでしょう。
税務署がすぐ言ってくるのです。
「役員社宅を建てるのは勝手です。
もし社長から家賃を取っていないと
家賃相当額は給料として社長に課税します」
これなのです。
税務署が大好きな言葉に「経済的利益」というのがあります。
何か役員が会社を使って「うまいこと」やっていると
この伝家の宝刀「経済的利益」を使って課税してくるのですね。
ここで
「ではその家賃はどうやって決めるのですか?」
という大問題も発生します。
國分社長のような豪邸を会社所有にしたら
「通常支払うべき使用料」
が税務署がいう家賃ということになります。
建築面積545㎡ですからね。坪数でいうと165坪。
仮に坪5000円で借りたとしても月82万5000円。年間990万円。
社長はタダで住むと年間990万円の家賃分を給与課税されてしまうのです。
では本当に社長が会社に年間990万円を払えばいいのですが
もし会社に払ったら会社に利益が出てしまいますね。
先ほど計算しましたが減価償却費が660万円程度ですからね。
どうでしょうか?
「10億円で高級住宅地1000㎡の土地を買って豪邸を建てても」
まったく節税はできないということが
ご理解いただけたでしょうか。
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