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2018年8月24日 (金)

遊ぶ鉄工所 その4

「脱下請」を図ったHILLTOPはいったいどうなったのでしょうか?
冒頭ご紹介したように、この会社はここ10年で急成長した会社です。

ですので、下請をやめたその後の約20年間くらいは
「暗黒の20年間」
が本当にあったと思うのです。
そこが一番知りたいのですが、こういう本はあまり本当の苦労話は
書かないのですね。

今から30年前のバブル期は鉄工所も好景気であったはずです。
ものが大量に製造され売れる時代ですから、町工場であっても
景気は良かったはずですね。
どこの町工場も大量生産に明け暮れます。

ところがこの副社長は「脱下請」にかじ取りを切った以上、
量産の仕事はあえて取りにいかなかったのです。
単品の仕事ばかり狙っていました。

同業者からこう言われました。

「山本さんは頭おかしい。量産の仕事をすればほっておいても
儲かるのに、どうして七面倒くさい単品の仕事ばかりするのか・・・」

本当に同業者からこう「バカ呼ばわれ」したのですね。
当時の町工場は空前の好景気だったのでしょう。
下請であっても仕事がありさえすれば利益は確保できたのでしょう。

この副社長は儲けを度外視するのですね・・・。

「儲かるかどうかわからない。楽しそうだからやる。」
「儲からなくても、社員のスキルがあがるからやる。」

こんな考え方でいたのです。
読みながら考えました。

「確かにそれは理想だけど、利益を出さなければ企業でない・・」

そうなのですね。
社員のスキルが上がるのはいいけど、利益を出して
給料を払ってやらなければ社員の生活が成り立たないのです・・・。

Agv

例えば、HILLTOPでは無人搬送車(AGV)の開発を
しました。
開発をした理由は「楽しそうだから」
開発にかかった費用は何と1億円です。

結局開発はしたもののこれについての売上は1000万円です。
「差引9000万円の赤字です・・・。」

顧問税理士であったらつい言ってしまいますね・・・。
小さな町工場では9000万の赤字に耐えられなくて
倒産してしまうことさえあると思います。

ですので、この暗黒の20年は本当に大変だったと思うのです。

「下請なんかつまらない仕事をやめたい」
「楽しい仕事を誰でもしたい。」
「こんな理想の会社に誰でもしたい」

経営者なら感じるかもしれませんが、すこしデフォルメされ過ぎているのでは
ないかと正直感じます・・・・。

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