どん底企業から東証1部企業へ その5
ではそのどん底からどうやって立ち直っていったのか?
これは非常に参考になるお話ですね。
米山薬品工業傘下の元で研究開発を続けます。
業務用洗剤の他、固形燃料の「カエン」です。
コレです。
写真左の一斗缶がこの商品の原型です。
一斗缶にアルコールを14キロ流し込んで固めただけのもの。
どうやって使うかというと、スプーンを使って一斗缶から必要量をすくい出し、
それを火皿にのせて使うのです。
これをさらに改良したのが右側の「角切りカエン」
鍋の具材が完全に煮え切り、食べ終えるまでの保温力が続く
適正量(30グラム)を試行錯誤の上作り上げたそうです。
この「角切りカエン」が販売されると、売れ行きはグンと
伸びたのです。
それで製品チラシを作り、観光旅館向けのDMも。
販促活動のおかげで市場を次々に開拓していきます。
以前ご紹介したカエン専用のコンロと鍋を開発し、
さらにそれに合うメニューまでも開発し提供。
おりしも旅行ブームの影響とあいまってグングン伸びていきます。
これで一気にどん底から息を吹き返したのですね。
そして1982年(昭和57年)に独立。
9年間にも及ぶ「どん底」から新たな飛躍のスタートを
切ることができたのです。
その後カエンも改良を加え続けます。
切っただけの「角切り」だとアルコールが
気化するので、アルミ箔をつけることで
それをふせげる、「カエンエース」
そのアルミ箔をフイルムに変え改良したものが「スーパーカエン」
「シュリンク包装」という特殊な包装をしてアルコールが
まったく気化しないそうです。
それでこれが現在の「カエンニューエース」
旅館でよく見ますね。
ニイタカの技術革新の歴史ですね。
ここで参考になったお話が、「実用新案」という特許のお話。
アルミ箔をつけたところで、「アルミ箔付きの固形燃料」ということで
実用新案権とその製法についての特許権を取ったそうです。
でもある弁理士から
「角切りの段階でも実用新案権は取得できたはずですよ」
と言われたそうです。
もしその段階で実用新案権を取っていれば、
市場を完全に独占できたのでしょうね。
でも、この「カエン・シリーズ」こそが、他社の固形燃料を
引き離して圧倒的なシェアを誇る商品に育っていったのです・・・。
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