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2018年5月16日 (水)

どん底企業から東証1部企業へ その5

ではそのどん底からどうやって立ち直っていったのか?
これは非常に参考になるお話ですね。
米山薬品工業傘下の元で研究開発を続けます。
業務用洗剤の他、固形燃料の「カエン」です。


Photo


コレです。
写真左の一斗缶がこの商品の原型です。
一斗缶にアルコールを14キロ流し込んで固めただけのもの。
どうやって使うかというと、スプーンを使って一斗缶から必要量をすくい出し、
それを火皿にのせて使うのです。

これをさらに改良したのが右側の「角切りカエン」

鍋の具材が完全に煮え切り、食べ終えるまでの保温力が続く
適正量(30グラム)を試行錯誤の上作り上げたそうです。

この「角切りカエン」が販売されると、売れ行きはグンと
伸びたのです。
それで製品チラシを作り、観光旅館向けのDMも。
販促活動のおかげで市場を次々に開拓していきます。

以前ご紹介したカエン専用のコンロと鍋を開発し、
さらにそれに合うメニューまでも開発し提供。
おりしも旅行ブームの影響とあいまってグングン伸びていきます。
これで一気にどん底から息を吹き返したのですね。


そして1982年(昭和57年)に独立。
9年間にも及ぶ「どん底」から新たな飛躍のスタートを
切ることができたのです。


Photo_2


その後カエンも改良を加え続けます。
切っただけの「角切り」だとアルコールが
気化するので、アルミ箔をつけることで
それをふせげる、「カエンエース」

Photo_3


そのアルミ箔をフイルムに変え改良したものが「スーパーカエン」
「シュリンク包装」という特殊な包装をしてアルコールが
まったく気化しないそうです。

_

それでこれが現在の「カエンニューエース」
旅館でよく見ますね。


ニイタカの技術革新の歴史ですね。
ここで参考になったお話が、「実用新案」という特許のお話。
アルミ箔をつけたところで、「アルミ箔付きの固形燃料」ということで
実用新案権とその製法についての特許権を取ったそうです。

でもある弁理士から
「角切りの段階でも実用新案権は取得できたはずですよ」
と言われたそうです。

もしその段階で実用新案権を取っていれば、
市場を完全に独占できたのでしょうね。

でも、この「カエン・シリーズ」こそが、他社の固形燃料を
引き離して圧倒的なシェアを誇る商品に育っていったのです・・・。

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