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2018年3月30日 (金)

ほどよく距離をおきなさい その5

「可愛い子供たちが幸せになるように財産を残したい」

皆思うことですね。
でもなまじ、少なからぬ財産を残したことにより、
その後何十年も兄弟同士が骨肉の相続争いを続け、
最後には絶縁状態になるなど、湯川先生は何千、
何万もの事例を見てこられたのでしょう。

中国の北宋代の儒学者、司馬温公の言葉。

「大金や資産をいくら多く残しても、
子や孫たちは、これを上手に守り使うことはできないものである。
子孫をいつまでも栄えさせようと思えば、
世の人々のために自らが陰徳を積むことこそが、
子孫が幸せに暮す基となる。」

子の行く末を案じて財産を残そうとしても、
突然降ってきたお金は人をなかなか幸せにしないということ
なんだそうです。

60年も弁護士をやられてきた数多くの経験から、
本当に思うことなのでしょう。

「海外では多くの富豪が、子供に遺産を残さない選択をし、
多額のお金を寄付してる」
そうです。
先生はそれを勧めているように感じます。

Photo

(今朝の善福寺川の桜)


では、最後にこの書で一番感動した「花の遺言書」でまとめましょう。
ちょうど、本日は桜満開の日。
今朝満開の善福寺川で桜吹雪をあびて走りながら、
しみじみと先生の言葉に感じ入りました・・・・。


「桜の花の散る頃に死ねたら最高ね」


と言っていたある女性が亡くなったそうです。
その日は花吹雪が舞う暖かい日。
ちょうど今日のような日でしょうね。


彼女は家屋敷と退職金の他に、余生を過ごすには
十分な蓄えがあったそうです。
自分の病気がガンであることが分かった時、
公証役場に出向き遺言書を作っていました。

独身を貫いた彼女には夢があり、
それは彼女が活動されている団体に寄付するということ。

その遺言内容は
「預金の80%を彼女の所属する福祉団体に遺贈する。
死んだ兄の長男に不動産と残りを相続させ、
死後一切の行事を託す」
というもの。
実に潔い内容ですね。


遺産相続は遺言通りに実行され、
福祉団体から「花の遺言書」として、感謝状を贈られたそうです。


先生が長きに渡って弁護士業務をやられているとは思いますが、
こういう事案は弁護士冥利につきる
生涯忘れられないお仕事なのでしょう・・・。


私もまだまだ達人の領域には程遠く、あと40年はかかると思いますが、
一歩ずつ進んでいきたいと思います。
湯川先生、ありがとうございました。

(達人シリーズ おしまい)


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