いのちのスタートライン その7
でもガンというのは本当に怖いですね。
腹切って内臓取出しすべてのリンパ節を取り除いても
治らないのですね。
あれだけ号泣して、これでガンを制圧したかと思っていたら
まださらに怖いものがあるというのです。
前に述べた抗ガン剤が原因となる副作用です。
抗ガン剤治療中の6月にすでに発症していた「間質性肺炎」。
恐ろしいのは、突発性の場合は、治療が困難な難病なのだそうです。
具体的には抗ガン剤の影響で肺胞が線維化、
つまり肺が固くなります。
呼吸器系の劣化は肺組織の崩れということで、
元に戻るということはないのです。
ということは、マラソンランナーとして、肺が使えなくなるということは
受け入れがたいことで、本当につらい宣告でしょう。
さらに恐ろしいことに、急に症状が悪化した場合、
これを「急性憎悪」というらしいですが、
生存率は高くなく、大久保さんの精巣腫瘍の最終ステージという事実を
合わせると、一説には生存率20%以下・・・。
後腹膜リンパ節郭清術の手術の成功で8月に退院して
自宅療養を続けて、この間質性肺炎と大久保さんは戦っていました。
その大久保さんは、10月のある日に医師はこう告げられます。
「肺が真っ白ですよ。いったい、どうしたんですか?」
恐れていた「急性憎悪」が起こっていたのです。
これを聞いた直後の描写がリアルで泣けます。
この宣告の瞬間、何よりその生存率の低さから
最悪の事態まで考えざるをえなかったのでしょう。
ついにその3日後、この発作、つまり「急性憎悪」が起こります。
その後緊急入院して、治療するもののなかなか治療効果は出ません。
ここで16日目、ついに「ステロイド・パルス療法」の処置。
これはそれまでステロイド薬を一日最大7倍量(70mg)まで
増やして慎重行っていた投与を、なんと、100倍量(1000mg)まで
一気に引き上げるもの。
これはまさに「一か八かのカケ」
「私は、死を覚悟した。意識せざるをえない状況だった。」
その結果、やっと効果がでて、死と背中合わせの危機的な状況は
何とか乗り切ります・・・。
これで6度目の入院治療が終了。
これで2月の骨折から始まり、3度の手術と3カ月に及ぶ抗ガン剤治療、
さらに間質性肺炎の治療と退院まで10か月・・・・。
命はなんとか助かったものの、
「マラソンで作り上げた身体は、まるで100歳の老人のように
弱り果てて、脳の衰えまで自覚するほどだった・・・。」
何度も書きますが、
10か月前までは元気に走っていたランナーが突然・・・・。
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