誰がアパレルを殺すのか その8
ではそのエバーレーン(Everlane)の仕組みがいかにすごいかを
ご紹介していきましょう。
まずこの写真見てください。
エバーレーンのサイトで売られているカットソー(68ドル 7480円)
ファッションに疎いおじさんのために注書きすると、
「カットソー」とはニット生地を「カット」(裁断)して「ソー」(裁断)したもの。
サイト上には、「伝統的なブランド」だと同じ商品が
140ドル(約1万5400円)で販売されていると併記されている
そうです。
消費者には「伝統的なブランド」はどこだかすぐ分かるでしょうし、
今までご説明したとおり、どこのブランドも同じように中国やベトナムでOEM
生産されているのですから、品質は同じと消費者にも分かります。
さらにこのエバーレーンのサイトがすごいところは
このページ。
モノクロなので分かりにくいでしょうけど
写真のカットソーの原価構造を分かりやすく示しています。
生地代 16.81ドル(約1,849円)
人件費 7.59ドル(約834円)
関税 1.79ドル(約196円)
その他費用1.81ドル(約199円)
合 計 28.00ドル(約3,080円)
これに40ドル(約4400円)のエバーレーンの儲けを
上乗せし68ドル(約7,480円)で販売していることまで開示しています。
これ本当に驚きませんか?
ここまで開示するビジネスモデルは他にないですね。
『他の「伝統的なブランド」は原価28ドルのものを
消費者は140ドルで買わされています!!』
業界に対する強烈なアンチテーゼですね。
この徹底した透明性こそが、エバーレーンにファンを
増やしている理由です。
顧客なら誰でも知りたいと思うことをシンプルに示しています。
ベトナム工場の写真まで開示しています。
また原価を開示することにより、儲けを取らないセールを
することもあるそうです。
その利益の使い道を、例えばベトナムのバイクのドライバーの
ヘルメット購入に充てるなど、具体的に示しています。
「価格に嘘はないか」
「品質に嘘はないか」
「デザインは喜ばれるものか」
「商品の見せ方や購入方法はスマートか」
この企業の問題意識そのものが、
既存アパレル業界の大量生産、大量供給というビジネスモデルへの
アンチテーゼということです。
まだ売上規模は3500万ドル(38億5000万円)ということですが
会員数は100万人にも上っているそうです。
時代のニーズを敏感に感じ取り顧客を増やしているのですね。
このビジネスモデルはアパレル業界以外にも使えそうだと
思いませんか・・・・。
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