誰がアパレルを殺すのか その3
アパレル崩壊の「戦犯」としてあげられているのが
百貨店と共にショッピングセンター(SC)。
百貨店についてはご紹介したとおり、凋落の一途。
2016年の全国百貨店売上高は5兆9780億円と
なんと36年ぶりに6兆円を割り込みました。
(1980年5兆7225億円)
売上構成で3割を占めるアパレルの不振が原因です。
一方でSCの出店攻勢もすごいです。
10年間で1.5倍にもなっています。
大量のテナントを必要とするSCは、当然アパレルに
出店要請。
売れないのに出店させ続けたSCの罪も大きいと思うのです。
結局百貨店と共にSCは「顧客の食い合い」し、
共倒れすることになります・・・。
しかし、やはり百貨店というブランドが崩壊した罪ももっとも
大きいと思うのですね。
ここで得意の昔話。
我々の世代は百貨店全盛期を見てきました。
特に、東京池袋で育った私は、CMではないですが
「東が西武で〜♪西、東武〜♪」の街。
西武百貨店や東武百貨店でよく買い物しましたし、
今はなき池袋三越も好きでした。
特に食堂街に連れて行ってもらったり、屋上で遊んだ楽しい記憶もあります。
子供の頃、人でごった返している百貨店こそがブランド。
小学校一年生の時、三越で初めてグローブを買ってもらいました。
今でも大事にとってありますが、グローブに
「MITSUKOSHI」の印字があります。
ミズノでもナイキでもなくMITSUKOSHIブランド・・・。
昨年NHKの朝ドラで「べっぴんさん」というのがありましたけど、
あれは子供服ファミリアの実話でしたね。
社員たった4人の会社から阪急百貨店に出店して
店舗拡大したという成功物語です。
百貨店に進出したことでブランドとして認められたことこそが
成功の最大の要因です。
毎日大量の人が百貨店に押し寄せたので、並べているだけで
ほっておいても売れたのですから。
ただ百貨店そのものが、このブランドに胡坐をかき、この30年間
何もしてこなかったのです。
百貨店の「殿様商法」ですね。アパレル側に「売らしてやる」の姿勢です。
その殿様商法の具体的なやり方が記載されていましたが、
「消化仕入れ」という業界独特の商慣習。
つまり、「売れた分だけ仕入を発生」させ、「販売員もアパレルに負担」させ
「百貨店には何もリスクがない」仕組み。
これはすごいですね。
それこそ商品が万引きされても、火事で燃えても百貨店はノーリスク。
大丸松坂屋の社長のインタビューが掲載されていました。
「我々はゆでガエルだった・・・」
いみじくも反省しています。
大丸松坂屋は今後アパレルの売り場面積を減らす方針転換を
しているそうです・・・。
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