生涯投資家 その6
ただここで村上氏が何度も力説しています。
「私はニッポン放送の株式取得を通じて、ニッポン放送の経営や、
ましてフジテレビの経営に乗り出す気など、さらさらなかった。」
これは、本当なのしょう。
持論の通り、「コーポレート・ガバナンスの不在が招いた状況を
正しかった。」訳です。
ただ、
「このゆがみを修正する過程で、フジテレビによるTOBや
株式交換による持ち株会社化を想定していた。そこであろう投資利益が
ファンドマネージャーとしての大きな魅力だったことは、もちろん事実だ。」
事実ニッポン放送への投資後、いびつな資本関係を正すために
提案を何度も繰り返したそうです。
何を提案したかは「ニッポン放送が危険な相手から買収を受ける事態
への予防策」だったのです。
まさに「もの言う株主」ですね。
ただいろいろ提案したものの、会社側の「厚い壁」に阻まれます。
それでも、2003年6月末時点で7%を超えます。
この時点でいよいよ「プロキシ―ファイト」の準備を始めています。
さらに外国人株主からも株式を買い集め、ついに2005年になると
20%近くまで保有に。
ついに、2005年1月17日、フジテレビが50%以上の
株式を取得を目指してニッポン放送の株式をTOBすることを発表。
村上氏のシナリオ通り、コーポレート・ガバナンスのゆがみを
是正することとなったのです。
結果的にここで終われば、村上氏は大成功だったのですね・・・。
そこで邪魔をしたのが、ホリエモンこと堀江貴文氏。
この本はホリエモンへの恨み節でもあります・・・・。
このころ「メディアとネットと融合」という言葉が盛んに
言われ出した時代です。
錬金術で大成功したネットの雄であるホリエモンは、
どうしてもそのメディアが欲しくなったわけなのですね。
そこで有名なお話。
2月初めに、村上氏へホリエモンは電話を入れます。
「何とか株を買いたいので、ニッポン放送株を保有している
外国人投資家を紹介してほしい。」
と聞いちゃったのです。
これが有名な『聞いちゃった事件』
当然、彼はこの時点で、インサイダー場情報として、
ファンド社内で登録し、日本放送株式の買入れを
停止した・・・。
その直後に、ライブドアはリーマンブラザーズから資金調達に成功し、
2月8日、ライブドアがニッポン放送株式を35%保有を発表。
でも、その後、この『聞いちゃった事件』により、
インサイダー容疑で逮捕され、
最高裁まで争われたものの有罪確定・・・。
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