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2017年8月31日 (木)

誰がアパレルを殺すのか その2

ではここ20年間のアパレル業界で絶対外せない「ユニクロ」の
お話から。

1990年代に、それまでのDC(デザイナーズ&キャラクターズ)ブームに
湧いていたアパレル業界が一気に冷え込みます。
消費者の財布のひもが固くなっていたところに、あのユニクロが登場しました。
「980円」や「1980円」の衝撃的な価格に消費者は飛びついたのですね。
と同時に、欧米の「GAP」や「ZARA」などのファストファッションも
大成功をおさめます。

ユニクロの大成功の理由は、お分かりの通り、中国での大量生産でしたね。
この影響をうけたアパレル業界は、こぞって「ユニクロのようなビジネス」を
真似だしたのです。

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生産拠点を中国などの海外に移転したのです。
アパレルの輸入比率です。
1990年には輸入比率が50%だったのが現在では97%。
これはアパレル業界はもうほとんど輸入に頼っていますね。

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やはり主には中国ですね。

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結局海外からの輸入品が市場にあふれたことにより
価格破壊が起こります。
購入単価は6割まで落ち込んでいますね。

需要に関係なく、単価を下げるために大量生産し、
百貨店やSCやアウトレットモールに商品をばらまいた訳なのですね。

なお悪いことに、このビジネスモデルは極めて非合理的ですが、
「麻薬のように」一度手を染めたらやめられないものだったのです。
つまり、無駄を承知で大量の商品を供給すれば目先の売上が
作れるからなのですね。

ただ結果的に、各メーカーがこぞって中国などに
OEM生産したことにより、商品がどれも似たりよったりに
なってしい、結局「買いたい」と思う服が無くなってしまったのです。

面白い例示が出ていました。
2016年のある大手アパレル企業での取締役会のことです。
一人の社外取締役が、会議の場に持ち込んだ3点の服は
別ブランドの商品だったそうですが、まったく同じ商品で
違いはブランド名が書かれたタグだけ・・・。


これこそがOEMの弊害なのです。
結局アパレル企業が、「売れ筋を、安く、速く」作ろうとするあまり、
いつしか商品企画やコンセプトを海外に丸投げしてしまったからなのです。


どのブランドも同じような服なら、消費者はいくら安くても買いませんね・・・。
まさに、これこそが「集団自殺行為」なのです。

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