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2017年5月17日 (水)

捨てられる銀行2 その4

「金融行政の失敗」と自ら森金融庁長官が認めているのが
面白いですね。


では、それを説明するために、なぜそもそも「銀行窓販」という制度が
できたのでしょうか。

それは今から25年以上前ですが、私が現役の証券マンだった頃、
「金融ビックバン」と呼ばれた時代に遡ります。

この言葉自体も懐かしいですね。
規制改革(フリー)や国際化(グローバル)という単語と共に
よく言われていましたね。


「これからは新しい金融の時代が来る。」


そう思って証券会社に勤めながら税金の勉強をし出したのが
その頃でしたから・・・・。


金融ビックバンの名のもとに、いろいろと規制改革が行われました。

外為法が改正され、生保と損保の相互乗り入れが解禁になり、
その一環として、銀行窓販も解禁になり、銀行でも投資信託を
販売できるようになったのですね。
一方で、セブン銀行やソニー銀行、楽天銀行など事業会社も銀行業に
参入できるようになったのです。


そう「明るい金融の未来」の時代がきたと同時に、やはり「過去の負の遺産」
の処理が進みますね。

1996年金融庁が登場したのは前著で詳細に出ているとおりです。
銀行は「未来の金融行政」へとかじ取りを取りながら、
やはり不良債権処理に忙殺されたのです。
「金融検査マニュアル」でがんじがらめにしたのも、
まさに前著のとおりです。


不良債権処理を進めるために、銀行自体に
収益力強化と健全性で追い立てたのは間違いのない
事実だったのです・・・・。
それを「失敗」と金融庁も認めて居るのです。


結果的に、顧客本位でない金融業界を作り出してしまった・・・。
つまり、「投資信託の乗り換え営」によって銀行だけが
儲けに走ってしまったのです。
乗り換え営業は気が付いて規制強化すると、今度は「貯蓄性保険証券」へ
シフトします。
銀行は、外貨建一時払い生命保険をガンガン売りまくったのです。
この外貨建一時払い生命保険の平均手数料はすごいですね。
2015年平均で7%なんだそうです。
まさに「顧客を食い物にしてきた・・・・」


これに気が付いた森金融庁長官はすごいです。


この本で一貫しているキーワードはコレです。


「フィデューシャリー・デューティー」(Fiduciary Duty)
「真に顧客本位の業務運営」と金融庁は定義しています。


ぜひこの単語を覚えて銀行の担当者に言ってください。
必ず「ひるむ」はずです・・・。


もし知らなかったら、必ずこう言ってください。


「キミもう銀行を辞めたほうがいいよ。

『時代の価値観が変わったのに、顧客本位のビジネスモデルを
構築できない金融機関は生き残れなくなる。』

そう金融庁長官は言っているのを知らないの・・・。」

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