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2016年5月18日 (水)

理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス その5

久美子社長の要望から社外取締役を入れていきます。

阿久津聡(一橋大学院教授)と長沢美智子(弁護士)、中尾秀光(元ホウライ会長)
の三名。阿久津氏と長沢氏は久美子社長が探してきた方。
中尾氏は銀行出身でもともとは勝久会長と個人的に親しかった方。
この3名を加え、社内役員は5名。
勝久会長、長女の久美子社長、長男の勝之専務、
娘婿の佐野上席執行役員、従業員出身の渡辺執行役員。
全部で役員は8名ですね。


しかし、2014年(平成26年)7月に久美子社長は
解任されてしまうのですね。


その前から久美子社長と勝久会長は経営方針で対立していたようです。
決定的なことは、会長が進めていた埼玉県春日部の大規模な出店計画。
勝久会長の生まれ故郷である春日部で5000坪の土地を購入し
建設コスト合わせて100億円もかけるというもの。
年間の純利益が8億5000万(2013年12月期)ほどの
大塚家具にとっては社運を賭けたプロジェクトですね。
このプロジェクトには久美子社長は大反対していたようです。


しかし、どうして解任されてしまったのか?
取締役会というのは「多数決」ですからね。


「久美子社長解任案」で賛成とする勝久会長側についたのが、
勝久会長、勝之専務、佐野氏、渡辺氏、中尾氏の5名。

解任に反対したのが、阿久津氏と長沢氏の2名。
久美子氏は決議には加われないから、結局5対2で解任。


久美子氏が要望した社外取締役という制度が何の機能も
果さなかったのですね。


勝久会長は、久美子社長を解任すると、すぐに売買契約を
締結してプロジェクトを進めてしまいます・・・。


「これがはたして上場企業か・・・」

そう思いませんか?

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