理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス その4
社外取締役を入れること」これはどういうことを
意味するのか?
これこそまさに「コーポレートガバナンス」なんですね。
中小企業なら、社長=オレ。
まさにやりたい放題。
上場企業となると取締役会による合議制が大前提。
社長の一存では決まらないのが「建前」
勝久氏は久美子社長の願いを聞き入れ、取締役をいれます。
結果的に取締役会は、一族三人、社員出身二名、社外二名の体制に。
でも結果的にこれがどうなったかはあとで説明します。
それと相続対策として重要なのが「ききょう企画」という会社。
直近の有価証券報告書の大株主の状況をみてください。
筆頭株主はこのききょう企画。
なんと189万2000株も持っています。
当然もともとは創業者勝久氏の持ち株。
この会社は勝久氏の持ち株を2008年に130万株を
移しています。
でも会社にはカネはないから「私募債」を発行しています。
なんと15億円。それを勝久氏が引き受けているのです。
そのカネで株式を購入したのです。
ということはどういうことか分かりますか?
自分で出した15億円で自分の持ち株を買わせただけなのです。
「これが果たして相続対策?」ということはどこのワイドショーでも
説明していませんでした。
15億円で130万株を買ったということは一株1153円。
もし大塚家具の株価がそれ以上になれば相続対策ということなのでしょうか?
因みにききよう企画の株はもともとは勝久氏が大半を持っていたようですが、
株の譲渡と同時に勝久氏の奥さんである千代子氏が10%に
兄弟姉妹4人がそれぞれ18%ずつ所有するように移しているのです。
「これが何で相続対策?」
と悩む方は多いと本当に思いますね。
社債の期限はあるのですが、もともと償還を予定するものではなかったようです。
でも親子喧嘩が進むにつれ、オヤジさんから
「いい加減に15億円返してくれ!」
となってしまったのですね。
このスキームはいったい誰が考えたのでしょうかね。
このききょう企画の保有する議決権が、その後大問題となるのですから
「相続対策の失敗例」として、これは後世に語り継がれる
有名な事案となるのでしょうね・・・。
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