しんがり 山一證券最後の12人 その6
ではそろそろ本題の「山一證券がなぜ破綻したか」を。
古き証券体質をいろいろご紹介してきましたが、
私にとっては懐かしい単語「営業特金」というのが出てきました。
山一證券破綻の理由は、この「営業特金」と位置付けています。
でも当時はどこの証券会社でもこの営業特金はありましたから・・・。
この「営業特金」とは簡単にいうと、
「特定金銭信託の形態を取ながら、証券会社の営業部門が行う運用」
なのですね。
今から30年前のお話で恐縮ですが、
営業マンがこの「営業特金」の契約を取ってくると
必ずトップセールスマンになりましたね。
支店では必ず「ヒーロー」です。
どうしてかというと、運用全部がその担当者に任せられているので、
どんな売買でもお客さんの了解なしにできてしまいますから・・・。
(これ以上あまり書けません)
もちろん今は違法です。
どこの証券会社でも行われていた営業特金。でもなぜ山一だけが・・・。
それが疑問でしたが、山一證券は昔「法人の山一」と呼ばれるぐらい、
法人部門に強かったのです。
その事業法人(つまり上場企業)に対して営業特金のセールスを拡大したのですね。
その結果、1兆円をも超える巨額な資金が集まったのです。
でもその募集方法が問題でした。
「利回りまで保証する裏取引」をしていたのですから驚きです。
これはお分かりでしょうけど、完全な違法行為です。
社内で問題にならなかったのでしょうか・・・。
それどころか組織的に行われていたことがこの本から分かります。
でも株式運用は右肩上がりの時はいいのですね。
あのバブル崩壊をもろに受けてしまいます。
1兆円の営業特金が数千億の含み損を抱えます。
このあたりから山一證券はおかしくなってきたのでしょうね・・・。
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