しんがり 山一證券最後の12人 その3
この本の題名となった「しんがり」とは
戦いに敗れて退くときに、軍列の最後尾に踏みとどまって
戦う兵士のこと。
山一という沈みゆく船に最後まで留まって、残務処理をした12人が
この本の主人公です。
その残務処理で最大の仕事が「山一がなぜ破綻したか」を突き止めること。
自主廃業が決まった以上、社員の多くは自分の生活のために
我先と次の転職先を決めていきます。
多くの社員がメリルリンチに移ったものの、それも一部の人のみ。
皆必死ですからね。沈んでいく船に留まっていられません。
つまり、12人はいわば「貧乏くじ」を引いたようなのものですね。
そのしんがりの「隊長」となった方は、嘉本(かもと)常務。
当時54歳。今の私と同じ年代ですね。
この方が実にカッコいい。
そのしんがりの副隊長が菊野氏。当時58歳。
この二人の略歴を読んで感動しました。
簡単に言えば、「古い証券体質」に反旗を翻した方。
このあたり「古い證券体質」については、
あとで詳しく私なりに解説していきますが、そういう方々は
証券会社という「組織」では絶対出世しません。
二人とも山一の中で「場末(ばすえ)」と呼ばれるような組織に
送られていました。
どこの大企業でもあるような場所なのでしょうね。
サラリーマンの悲哀の象徴的な場所です。
でもその「場末」の方々が破たんを引き起こした犯人を
突き止めていきます。
もちろん、その犯人たちは皆大出世していて、
山一のかつての大幹部達。
犯人の実名入りで報告書を作り上げます。
「場末」の意地。サラリーマンとしての矜持・・・。
これは読んでいてスカッとします。
« しんがり 山一證券最後の12人 その2 | トップページ | しんがり 山一證券最後の12人 その4 »
コメント