林原家 同族経営への警鐘 その4
本書76ページから79ページまで
調査報告書の「生の数字」が記載されています。
よほど転載しようかと思ったのですが、
こんな巨額の粉飾は、業界の関係者としてちょっと憚れます・・・。
1989年から20年間分掲載されていました。
最初の年の1989年
売上高は107億9600万円、利益440万円 純資産額6億7600万円
実はこれは金融機関向けの数字です。
調査報告書によれば、実際の1989年は
損益額 ▲14億7200万円 純資産▲62億9300万円
もうこれを見ただけで驚きですね。
金融機関向けの数字とはあまりにもかけ離れています。
ただ1989年という時代背景も説明しなければなりませんね。
まさに「バブルの絶頂期」です。
「土地神話」が全盛だったころです。
あのころは、土地さえ持っていれば、銀行は「決算書なんか見ずに」
貸してくれました。
「本当かよ!」
そう突っ込まれるでしょうけど、
私はその当時「抵当証券融資」で100億単位の融資案件を
やっていましたからね。
まさに時代の生き証人です・・・。
土地担保でいくらでも融資が実行されていた時代です。
林原という広大な駅前の土地を所有する「土地長者」の会社には
いくらでも融資がおりたと思うのです。
多分金融機関は決算書なんか見なかったのでしょう。
でもずいぶんひどいお話ですが・・・。
その後の20年の数字が出ていますが、
金融機関向けの数字は黒字でも、実態はほとんどが赤字。
純資産に関しては、金融機関向けの純資産が245億円もあるのに対して
実際の純資産は359億円
つまり、差し引き600億円もの粉飾!
まさに「日本近代史に残る粉飾」・・・。
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