林原家 同族経営への警鐘 その3
ここで、破たん企業とはいえ、役員報酬の額をあえて掲載した真意を
書いておきましょう。
単なる興味本位でもないのですね。
これは税法的には、会社法的にも非常に興味がある数字なのですね。
林原健氏の下欄の「林原英子氏」は健氏の実母です。
会社破綻後の翌年、94歳のご高齢で亡くなりました。
多分病気がちだったのでしょう。
ということは、そんなにもご高齢で受け取っていた、
3億6500万円もの報酬はやはり高額ではなかったのでしょうか。
また健氏の息子に対しても、監査役報酬として1億円を超える
報酬が支払われているのですね。
税法の立場としては、「不相応に高額な報酬」というのは
問題視されるのですね。
また、ここで監査役の商法的な役割を解説するのは恐縮ですが、
「取締役の業務執行を監査するのが監査役」なのですね。
実母や実子に監査役にして、取締役としてのお目付け役は
絶対に無理なはずですね。
でも破たんした後、この監査役たちは、善管注意義務違反として
損害賠償責任が問われました。
でも現実にはおかしいですよね。
こここそが、「同族企業の問題」ですから・・・。
多くの同族企業は、監査役などは身内で固めます。
実際には何も監督されませんね。
これも驚くべきお話ですが、取締役会が過去一回も開かれなかった。
これでは何も監督できませんね。
実際に報告書では、この監査役の方々は善管注意義務違反には
問われませんでした・・・。
これが中小企業の実態だと思うのですね。
ただ税理士の立場として、高額報酬について言及するなら、
「会社が儲かっていれば」それなりに取っていいと思うのですね。
でも問題なのは、実は林原は儲かっていなかったのです。
長年にわたって粉飾していたのです。
実態は赤字会社でありながら、高額報酬を取り続けていたのです。
ここに林原の破たんの原因があったのです・・・。
« e-gov(イーガブ)2度目のトライ | トップページ | 林原家 同族経営への警鐘 その4 »
コメント