「逆境経営」旭酒造桜井社長 その6
ではまたここで「酒造りのウンチク」を。
酒造りの大事な工程の一つに「上槽」(じょうそう)、
つまり、「お酒の原液を槽『ふね』の中に入れて絞る」行程があります。
一般的な酒蔵では、昔から、日本酒の原液を布の袋に詰め、
槽(ふね)中に袋を積み重ねる「袋しぼり」という伝統的な絞り方を
やっていました。
すべて手作業ですから、大変な労力だと想像がつくでしょう。
でも機械で絞るより、自然な圧力でキレイな味に仕上がるのですね。
なんとなく美味しそうに感じるでしょうか。
現在では高級酒のみに限られて行われています。
というのは、お分かりのように「低価格で」大量生産しようと思ったら
これでは無理なのですね。
それで多くの酒蔵では機械を導入しているのです。
シェアが高いのが兵庫県明石のこのメーカーのもの。
「ヤブタ式」
ただこれだと、獺祭の桜井社長いわく
「機械の袋香がわずかに残り、酒に外的な圧力をかけるために
お酒の味の組織が壊れてしまう欠点がある」そうなのですね。
それで獺祭が導入したものがコレ。
「遠心分離システム」
日本で最初に導入したのが獺祭なのだそうです。
1分間に3000回も回転をお酒にかけ、
酒粕とお酒を分離させる装置です。
無加圧状態で、もろみからお酒を分離したものなので、
純米大吟醸もろみの本来持つ香りやふくらみなどの
美点が崩れることない美味しいお酒がつくれるのですね。
この装置を使って製造されたものがコレです。
「獺祭 磨き二割三分 遠心分離」
一升(1.8L)で15,750円 720mlで7,875円
なんと!普通に製造されるお酒「磨き二割三分」の1.5倍!
「高い!」のです。
機械化することによってより高くなるのですね。
どうしてかというと、普通の「ヤブタ」を使うより
10分の1しか絞れないのですね。
一升で1万5千円もするお酒を高いと思うかどうかですね。
でも、この「遠心分離」もまた飲みたくなってきましたね・・・。
« 「逆境経営」旭酒造桜井社長 その5 | トップページ | 「逆境経営」旭酒造桜井社長 その7 »
コメント