海賊と呼ばれた男 その3
この長編は、上巻、下巻に分かれます。
個人的には、鐡造の起業開業の苦しみとそれを乗り越えるたくましさが
描かれている上巻が好きですね。
鐡造は大学卒業後のわずか2年後の25歳で起業します。
起業には、ちょっと想像がつかないスポンサーが
現れたのですね。
日田という個人の資産家なのですが、若干25歳の若造に対して、
今の金の貨幣価値でいうなら数千万円を出資する(本には贈与する?)のは
正直驚きですね。
でも、鐡造はそのカネを使って門司で起業したものの
最初はまったくうまくいかなかった・・・。
3年やってみて、その数千万のカネを使い果たします・・・。
そこで一度は商売をあきらめたのですね。
でもその日田氏が
「これでダメだったら一緒に乞食でもやろう。」
と更に金を出してくれた・・・。
こんな方はなかなかいないでしょうね。
鐡造が日本最初の「ベンチャー企業」なら、
日田氏は日本初の「ベンチャーキャピタル」なのでしょうね。
それで「死んだ気になって」働いて成功するのですね。
つまり、題名となった「海賊」になるのですね。
海賊と言っても、本当の海賊ではなく、
船の上で漁船相手に軽油を売る商売を考え付いたのです。
当時は、油の販売には販売エリアが定められていて、
門司以外の漁船には絶対売れない仕組みがあったからなのです。
海の上なら販売エリアなど関係ないですから。
この箇所が一番面白かったところですね。
実は、鐡造は生涯を通じて、「規制」と戦った男なのです。
ベンチャースピリッツとはこういうことかと感心しました。
それと最後に個人的なことを書きます。
私自身の税理士登録した頃のことを思い出しました。
「携帯電話が今後普及して、ノートパソコンもあって
これからは、どこでも仕事ができるようになりますね。
車にパソコンを積んで移動式の税理士事務所に
したいのですが・・・」
これは以前書きましたが、16年前に
税理士の登録申請の際に担当官に本当にいったことです。こちら
私も鐡造のように、規制なんか気にしないで、
本当にこれを実行すれば良かったですね。
そうしたら、きっと私も今こう言われたでしょうね。
「海賊と呼ばれた税理士」・・・!?
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