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2014年1月16日 (木)

海賊と呼ばれた男 その2

この本を一言でいうなら、

「石油から見た日本近代史」

主人公は石岡鐵造。
このモデルとなった方は出光興産の創業者、出光佐三という
実在の人物なのです。
明治18年(1985年)生まれですから、
明治政府が誕生し西南戦争などをへてようやく基盤が固まり、
近代国家ができつつある時代なのですね。

当然ですが、この時代はまだまだ石油のセの字もない・・・。
でも先に述べますが、この主人公は何と95歳まで生きるのですね。
昭和56年(1981年)没ですから、
日清日露戦争や世界大戦など戦争のすべてを経験し、
戦後の高度成長やオイルショックまで、
まさに石油とともに生きてこられた方なのです。


この本を読むと、

「エネルギー政策ということはこういうことか。」

「日本はだから戦争に負けたんだ・・・」

そう必ず実感するのでしょうね。
「脱原発」が叫ばれる現在、資源のない日本で、
エネルギーということをこの本から本当に考えさせられます。

しかし、この鐵造の石油に賭けるその生きざまに感動します。
鐵造は九州の片田舎に生まれ、
勉強して神戸高商(現在の神戸大学)に進みます。
現在と比べてそれはどれだけエリートコースだったか。

でも大学三年のときに、東北旅行をして秋田の油田を見てから
人生観が変わったのですね。
大学の卒業論文は、
「筑豊炭田の将来について」

毛筆で200枚を超える大作は、
当時花形産業だった石炭事業の将来性を否定するもの。
さらに、「石炭産業への国家統制に対する批判」まで書いてあります。

すごいですね。
学生時代から、石油の将来性を見越していたのですね。

さらに、卒業した後の就職先がすごいのですね。
神戸にある石油を取り扱う酒井商店という
わずか従業員3人だけの小さな会社。

現在以上にエリートばかりの神戸高商。
同級生からは「神戸高商の面汚し」とまで言われます。


これこそまさに「日本初代の」ベンチャースピリッツ!

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