破綻―「バイオ企業・林原の真実」林原靖著 その8
林原のオーナーの林原健氏は、日本有数の億万長者だった方です。
推定資産はなんと1000億以上。
その資産の大半がこの林原他関連会社の株式。
しかし、勉強になったのは、更生法申請と同時に
株主権はすべて失効してしまうのですね・・・。
同時にオーナー他一族の個人財産まですべて差し押さえ。
もう「奈落の底」です・・・。
差し押さえられた個人資産も、どんどん「叩き売られ」ます。
林原氏は美術館まで持つくらいの、美術品の収集家でした。
先代からの受け継いだ国宝級の美術品も、
そこには数多く所有されていました。
これだけでも数百億はあったのでしょう・・・。
美術品処分の委託先は、資産査定(デューディリ)をやったPWC。
監査法人は、そんなことまでやるのですね・・。
しかも不動産処分の委託先も、西村あさひ法律事務所の親密な不動産会社。
もう何をかいわんやです・・・。
(このあたりあまり書くと怒られるかな・・・)
結局オーナー一族らの資材提供によって、
100億以上の資産が無理やり換金され、
更生会社に拠出されることになります。
さらにもともと林原が所有していた中国銀行の株式も
自社株公開買付(TOB)によって、市場より安く換金されてしまいます。
その額234億円!
でも一番驚いたのは、この林原のスポンサーの落札額!
2011年4月に第一回のスポンサーの入札が行われたのですが
入札希望社数は80社以上。
結局3回の入札により、落札した企業は、専門商社の長瀬産業。
入札額はなんと700億円!!でした。
どうしてこれだけの高額の入札が行われたかというと、
債務額が1300億あるものの、先ほどの中国銀行などの株式など
300億、岡山駅前の土地が200億、その他土地建物が100億は
あったのですから、結局700億円で新たなオーナーが誕生したと
いうことなのですね。
1300億円あった銀行借入れの弁済率はなんと93%以上。
単純計算で1200億円の返済!!
こんな更生事案は過去も、今後も絶対ないでしょうね。
でもこの著者などオーナー一族の怒りは、どうにも収まらないのですね。
億万長者がすべての財産を没収・・・・。
「どこが債務超過なんだ!
なんで林原は破たんしなければならなかったのだ・・・」
「『銀行』と『乗っ取り屋』にやられたんだ・・・」
著者も間違いなくそう思っているみたいですが、
読んでいくうちに少し可愛そうになってきました・・・。
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