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2013年10月 2日 (水)

破綻―「バイオ企業・林原の真実」林原靖著 その6

すいません。
またマラソンに浮かれ、大事なお話を中断していました・・・。


経営状況が思わしくなくなって1か月後の
2010年12月になって、中国銀行から、こんな提案を受けます。

「メインバンクの当行としては、林原の再建を裁判外紛争手続(ADR)
によって進めるのがベストと判断しました。
つきましては、ADRの第一人者である東京の弁護士事務所を紹介します。」

ここで、裁判外紛争手続(ADR)という法律用語が出てきましたね。
多分ご存じないでしょうね。
今回のこの本で、このADRをずいぶん勉強させられました。
結果的に、これが大失敗だったようです。

ADRとは要するに
「裁判の手続きを経ず、銀行団が一致となって債務者を救いましょう!」
という再建制度らしいのですね。

ここで紹介されたのは「西村あさひ法律事務所」
日本の「四大法律事務所」の一つです。
この事務所のトップの松嶋英機弁護士が中心になって
法制化した新しい制度なのだそうです。


ADRは、銀行団を一致させるために、メインバンクの中国銀行とサブの住信が
当然中心となってまとめなければならないのですね。
でも前回先にアップした様に、このメインとサブの両銀行は先に
担保設定や保証人の追加などやっているのですね。
そんな不公平なことを先にやっている銀行のことなんか
他行は聞かないですよね・・・。
「抜け駆けしておいてから」あとは弁護士任せでは
なかったのではないでしょうか・・・。


ADRに向けてスタートすると
西村法律事務所は、「息のかかった」提携先である
「監査法人プライス・ウォーターハウス」(PWC)に依頼して、
林原の調査を徹底的に始めます。
PWCも日本最大規模の監査法人ですね。

この調査とはいわゆる
「デューディリジェンス」
過去の帳簿の監査も含め、徹底的に「あら捜し」をします・・・。
2か月後に資金ショートが見えていたので、
クリスマスも正月も返上の突貫工事。
通常半年以上かかる調査をわずか数か月で・・・。


でもここが一番大事なのですが、
銀行から、この両事務所を紹介されていたのですが、
契約はあくまで銀行ではなく、会社ですよね。
当然この段階では、依頼人は林原だったはずなのですね。
だけどどう考えても、この流れは銀行主導で、
しかも「銀行有利に」行われたとしか考えられないのです・・・。


この段階で、林原は2011年2月末時点で資金ショートは
必至の状況。
でも。これは後日誰も指摘していないことなのですが、
こういうのを「銀行の優先的地位の乱用」というのではないでしょうか。
「藁をもつかみたい弱い立場の債務者」ですから、
銀行の申出を断ることは絶対できない・・・。

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