400万企業が哭いている (石塚健司著) その8
粉飾問題に、これだけ熱く語る税理士は私くらいでしょうが、
長くなってきたので、そろそろまとめましょうか。
銀行や金融庁、検事や検察庁をいくら批判しても仕方がありません。
やはり、税理士として、会計の専門家としては、
厳しい言い方すれば、どういう理由があれ、
粉飾を絶対にゆるしてはならないのです。
本当に粉飾の事実を、擁護してはいけないとも思うのです。
ある意味、このお二人は被害者であるかもしれませんが、
本当に粉飾さえしなければ、絶対に起きうるはずがなかった、
こんな現実が待っていました・・・。
その事実を、この本のタイトルのとおり、まさに「哭(泣)いている」事実を
最後にご紹介して終わりましょう。
コンサルタントの佐藤氏が逮捕され、
実の母にその逮捕の事実を報告するくだりです。
その母は、ホスピスにて末期がんと戦っていました。
その母が佐藤氏へ残した最後の手紙。
「地位や名誉じゃないんだよ。
お金があることじゃないんだよ。
仕事ができるとかできないこととかじゃないんだよ。
(中略)
一番この世で大切なことは・・
人の心に、より添えることよ。
人の心がわかることよ。
人と心と一つになれることよ。
母の願いは 唯一つこれよ。
真言さま 母より」
これは泣きました・・・。本当に・・・。
この箇所だけでも、この本を読む価値があるでしょう。
この手紙をしたためた母は、その17日後になくなったそうです。
佐藤氏の気持ちを察してあげてください。
哭くどころか、号泣かもしれませんが・・・。
一方の当事者である、朝倉社長も、逮捕起訴によって、
会社は破産になり、すべてを失いました。
すべてを失った彼は、奥さんにこれ以上迷惑をかけてはと、
離婚を切り出しました・・・。
でも奥さんはこういったのです。
「私にも責任があるから・・・」
奥さんは離婚を認めなかったそうです。
これも泣きました・・・。
まだまだ言いたいことはたくさんあるのですが、
もう、これくらいにしておきます。
すべてが、「粉飾」という忌まわしい事実から起こったことなのです。
会計の専門家として、襟を正し、心得ておくべき事案なのでしょう。
すべての会計の専門家に、この本を熟読することをお勧めしておきます。
(この世からなくそう 粉飾シリーズ おしまい)
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