400万企業が哭いている (石塚健司著) その6
粉飾の手口を詳細にアップするのは税理士ブログとしては
ご法度でしょうから、これくらいにしておきます・・・。
朝倉社長自身で粉飾に手を染めてから、
コンサルタントの佐藤氏に経営の立て直しを依頼します。
ただ結果論として、粉飾が平成22年の決算まで
なんと4年間も続いてしまったようです。
ただここでも銀行の融資姿勢を証明する貴重な証言。
3期連続の粉飾をした平成21年に融資を受けたメガバンクから
面白い書面をもらっていました。
「前期比増収増益、現預金増大、在庫量圧縮、借入水準を圧縮・・・」
「決算書の模範解答」を渡されたようなものです。
要するにこうしないと、貸せません、という「粉飾指示書」!?
それにしたがって粉飾をしつづけたようです。
しかし、佐藤氏は粉飾のコンサルタントではなかったことは
明らかなのです。
一方で、朝倉社長と必死に経営の立て直しを図っているからです。
まず本社を移転してリストラも断行していきます。
こうして平成19年10月期に3億7700万円もあった経費を
平成22年10月期には3億700万へと7000億の経費圧縮に
成功しています。
しかし、リーマンショックで売上の減少はどうしようもなかったようです。
かつては9億円に迫った売上が、ついに7億円を切ってしまうのです。
そこで巨額の粉飾!
実際の逮捕容疑となった、決算書上の売上が9億3000万円!
なんと2億円以上の売上を水増ししたことになります・・・。
確かに額的にはトンデモナイ数字です。
我々専門家から見たら、もう「ミエミエの」決算書だったのでしょう・・・。
その決算の翌年3月にあの東北大震災がありました・・・。
そこで翌月4月に、日本全国で「がんばろう!日本!」というムードのもと、
「震災復興保証の制度融資」行われます。
それでこの会社は一億円もの融資を受けてしまった・・。
結論的には、その後その粉飾が明らかになり
「悪徳コンサルタントが粉飾を指導し震災融資を不正に・・・」
ということになってしまったのです・・・。
最初に申し上げたように検察を批判することは当ブログの目的では
ありません。
でも必死になって事業再生をしようと、もがいていた社長さんで
あることは間違いなさそうです。
逮捕容疑となった「詐欺」
これはどういうことかというと、「返すあてがないのに借りた」
ということです。
中小企業の社長さんは「返すあてがないのに」借金なんて絶対しません。
皆必死なのです・・・。
これは現場を見ている税理士として確信しています・・・。
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