400万企業が哭いている (石塚健司著) その4
「銀行って本当はそうだったのか・・・」
それがこの本を読むとよく分かります。
平成10年に現在の金融庁が誕生して、銀行自体が本当にガラっと
変わったのですね。
この頃から、「貸し渋り」、「貸し剥がし」が始まります。
同時に、金融庁主導のもと、銀行のリストラ、合併等。
利益を追求され、日々の仕事に追われ、
銀行マンにまったく余裕がなくなります。
「銀行は顧客の方を向いて仕事していない。支店長が見ているのは
本店だけ。次長や課長は支店長のご機嫌取りに汲々としているだけ・・・。」
この佐藤氏の言葉、まさに本音でしょう。
入行6年目の平成13年11月。銀行に失望した佐藤氏は
ついに退職してしまいます。
その後、同じ銀行の先輩と、前から望んでいた、
「中小企業のための野戦病院」、つまり「事業再生のコンサルタント会社」を
設立します。
これが、今回検察に眼をつけられた、
粉飾を指導する「悪徳コンサルタント」?らしいのですが、
とてもそうは思えないのですね。
その後10年あまり、佐藤氏は、自分の目指した夢に向かって
まい進します。
必死に中小企業を指導し事業再生に
成功させていきます。
命がけで指導する姿はまさに本物です。
このあたり、中小企業の真の指導者であるべき税理士として
見習うべきところなのかもしれません。
しかし、このあたり私も、証券会社をわずか8年で辞めた「脱サラ仲間」として
非常に共感するのですね。
「大企業論理」への反発というか・・・。
結局、大企業の利益追求のために中小企業は犠牲にされているのですね。
お役に立ちたいというのは、少しおこがましいですが、
「中小企業と本気で一生お付き合いしたい。」
これが私の税理士を目指すきかっけであった訳ですから・・・。
佐藤氏が退職した直後、皮肉にも勤めていた第一勧業銀行は解体され、
富士銀、興銀と合体され「みずほ銀行」が誕生します。
ただ一方で、金融庁は、その「貸し渋り」批判に対応するために、
平成14年に金融マニュアルを改正します。
さらに、コンピュータによる審査だけで融資可能な「ビジネスローン」も
登場させます。
「スコアリング方式」と呼ばれるこの審査方式は、決算書の数字だけで
判断されます。
でもかえってそれが粉飾を助長させた・・。
とまでこの本は言っています。
事実、このビジネスローンで、銀行は大量の不良債権を作ります。
結果、平成20年金融庁は、このビジネスローンを推奨項目から
外してしまいます・・・。
ここまでで見えてこないでしょうか。
「粉飾」という悪しき慣習がなぜ行われてきたか、その背景を・・
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