400万企業が哭いている (石塚健司著) その3
「こんな数字でどうすんだ君は!銀行をなめてんのか!!」
こんな支店長のゲキから始まった、当時の第一勧業銀行築地支店。
すごいですね。昔の証券会社のようですね?
朝から「灰皿が飛んでくる」証券会社を私は知っています・・・。
毎日、貸出残高増強額、デリバティブの新規契約額、金利引上達成額、
カードローン件数・・・これら項目を報告させられたそうです。
まさにノルマ地獄。
「現実のバンカー」の実態があったそうです。
某銀行は、いまでもこんな感じだと聞いたことがあります。
「真のバンカー」になろうと入行した佐藤氏は苦しみます。
しかも、ここで重要なことが銀行で行われていたのですね。
ここは知らなかったのですが、非常に大事なことです。
ハッキリ申し上げて「粉飾の温床」となった政府の方針です・・・。
平成11年に大蔵省から分割された「金融監督庁」(2年後に金融庁)が
できたのですね。
ここで後から「諸悪の根源」とこきおろされた「金融検査マニュアル」が
公表されたのです。
すべての銀行はこれに示された厳格な審査方法に従わざるを
得なくなったのですね。
このマニュアルで、企業の信用度を評価する尺度として
「決算書の数字に大きな比重が置かれるようになった」のです。
ここで大きく銀行は変わってしまったのです。
平成10年までは、たとえ決算が債務超過の会社でも、
経営者の人格や経営能力、商売の先見性、技術力、営業力など
総合的に見て、融資額を増やしながら育てていこうとする
判断と柔軟さがあったのです。
それがすべて、決算書という「数字ありき」に変わってしまった・・・。
どんなに長い付き合いの会社でも決算書の内容が悪ければ、
つまり、赤字であったり、債務超過であるなら、ずばり
「貸し渋り」、「貸し剥がし」が公然と行われるようになったのです。
しかも、すべての取引会社が「格付け」もされるようになったのです。
当時の第一勧業銀行では、14段階に分けられました。
1~6までは本店営業部が直接担当する上場企業など「超お得意様」
支店では7以下がほとんど。
それでも8と9は「一般先」
ここまでがプロパー融資可能な会社。
つまり、支店の独自判断で融資を受けられる先。
でもほとんどの中小企業が10以下になったそうです。
この10ランクは「マル保一発先」と呼ばれるのですね。
つまり保証協会の保証がないと融資が受けられない先なのです。
11は「要注意先」で、それ以下はまさに問題先です。
ここまでで中小企業の現場をみている税理士としては
非常によく分かるのです。
現在、支店独自のプロパー融資を受けられる「一般先」は
非常に少ないのです。
ほとんどが、保証協会の保証が受けられないと融資が
受けられない「マル保一発先」・・・。
赤字や債務超過だと必ずここにランク付けされる。
やはりこの検査マニュアルこそが「諸悪の根源」だったと
思いませんか・・・。
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