起業家(藤田晋著)その2
この本はここ15年間のITビジネスの「歴史書」でもあるのですね。
なぜなら時代の「生き証人」である藤田さんだから。
懐かしい「村上ファンド」や「ホリエモン」などたくさん出てきます・・。
1999年に遡りますが、
サイバーエージェントが設立された直後に、
証券取引所に「マザーズ」という新興証券市場ができたのですね。
「赤字企業でも将来性のある企業なら上場できます」といううたい文句。
政府主導の国家的政策だったのかもしれませんね。
サイバーエージョントは「サイバークリック」というサイト
(その時の下請け企業は当時のオンザエッジ社長の堀江文貴『ホリエモン』)
の成功で、そのうまく波に乗って、「第六番目の企業」として
設立されて、わずか2年しかたっていないのに
しかも本当に赤字企業なのに上場できました。
しかも「トンデモナイ」株価がつき、225億円もの資金調達に成功。
ラッキーだったとしか言いようがないのですね。
まさにバブルだったから・・・。
つまり、まだ市場は「インターネットビジネスが」どういうものか
誰も分かってないのに、「ファッションで」高株価がついてしまった
だけなのですね。
それでITバブル崩壊。
その後低迷にあえぎます・・・。
この本で上場後すぐ、会社をたたもうかとしたリアルな本心も
正直に書かれています。
「最年少社長の上場企業」としてもてはやされたけど
「無力な自分に絶望感をもった・・」
これは本心からそうなのでしょう。
その時助けてくれたのが、楽天の三木谷社長。
10%の自社株を10億円でポンと買ってくれたそうです・・・。
でもこの方はその時以後ずっと自分の経営者としての能力を
懐疑していきます・・・。
このあたり、起業する人には参考にしてほしいのですね。
この点よくいいますが、誰も大学で「経営学をマスターしてから」
起業開業するわけはないのですね。
「経営とは」
ということを、普通は会社を興してから、まさに「OJT」で
学んでいくからなのです。
しかもこの本で書かれていることの中心は
「ビジネスモデルの確立」
サイバークリックという成功で上場できたもので
実はその部門は「赤字を垂れ流していた」メディア事業。
実際に収益を上げていたのは、広告代理店事業。
ここに彼は悩むのですね。
ビジネスモデルが確立できていないのに
上場できてしまったことが問題であったのです・・・。
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