私、社長ではなくなりました。(安田佳生著) その7
すいません。また桜満開ネタで話が途切れました。
企業経営の大事なお話をしていたところでしたね。
「ワイキューブがなぜ破たんしたか」を
経理の専門家として、ズバリ切り込みたいと思います。
ワイキューブが急成長した時期がありました。
2000年(平成12年) 売上7億
2003年(平成15年) 売上15億
2004年(平成16年) 売上20億
すごいですね。
でもご紹介したように、もともと借金体質の会社でした。
ここで副社長兼財務担当という「財務のプロ」を
三顧の礼で迎いいれます。
ちょうどミニバブルの良い時期で、しかも急成長していることもあり、
銀行はどんどん貸してくれます。
この時点でなんと借入総額40億円!!まで膨らんでいきます。
かなり借りすぎですね。
社債まで発行したそうです。
「ワイキューブの銀行担当者はどんどん出世していった・・・。」
銀行に踊らされた面はいなめないのですが、
やはりこの時点で社長の考え方が誤っていたのです。
「借りられるものはすべて借りるつもりでした」
「金利さえ払っていれば一生返済しなくていい」
そんな感覚だったのです。
ワイキューブは確かに、その後も売上40億円まで達します。
でも「利益は1億円にも達したことはない」
そう言っているのですが、これは当たり前ですね。
儲かった利益をすべて、人材やブランドへの投資に費やしてきたのですから。
どう考えても借りすぎですね。
財務体質としては、「借り入れ依存」、しかも「業績が右肩上がり前提」の
かなり脆弱だったわけです。
しかも2007年(平成19年)の年末に、決定的なことが起こります。
その財務担当副社長が辞めてしまうのですね。
「財務の窓口をずっとその人に任せていたので
銀行の担当者に会ったことすらなかった」
中小企業の社長さんでよくお聞きするお話です。
そういう社長も多いですね。
でもこの本で一番驚愕したこと。
「銀行の借り入れをするために粉飾していた・・・」
「黒字だと思っていたら10億円の赤字だった・・・」
とんでもないことをいくら「暴露本」でも書きますね。
粉飾した決算書で銀行から多額の融資を引っ張っていたのです。
民事再生になったそうですが、これを知った債権者はよく怒りませんね。
ワイキューブのことを「ハリボテ企業」と最初書きましたが、
まさに
「借金という空気をドンドン送り込まれていただけのハリボテ」
だったと感じています・・・。
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