仙台の恩人
私が税理士の駆け出しの頃、新設法人の説明会の講師をしたことがありました。
そのとき、一番最前列で熱心に私の説明を聞いていたのがAさんでした。
ありがたいことに、終わるとすぐに顧問の依頼が来ました。
Aさんは、ある大手企業を定年退職されたばかり。
もちろん、経営も経理も素人でした。
私も駆け出しながら、持てる知識を最大限に熱心に指導しました。
Aさんも、なかなか商才のある方で、あっという間に事業を拡大していきました。
関連会社を数社設立して、順風満帆で10年経ったときに、
突然商売を畳んで郷里の仙台に帰ると言い出しました。
「良い時に辞めるのが一番さ。」
その引き際の良さに感心もしました。
ただ個人的には非常に寂しい気持ち・・・。
会社の清算手続きがすべて終了した際、仙台の邸宅に呼ばれました。
地元の方しか食べられないような素晴らしい「牡蠣」と「牛タン」を
ご馳走になり、さらに帰り際、持ちきれないほどの手土産までいただいて
感謝の気持ちで一杯になっていたとき、また感激の一言、
「またこっちで会社作るからよろしく」
そんな「税理士としての喜び」もすべて教えていただいた
まさに「恩人」でもありました。
そんなお付き合いを今までしてきたAさん。
11日から電話が通じないので本当に心配していました。
やっと4日ぶりに電話が通じ、元気そうな声を聴いた瞬間に
涙が出ました。
聞くと、幸い怪我もなくご無事だったのですが、
邸宅にかなりの被害。
4日間停電で毎日車の中で寝ていたそうです。
水の食料もあまりなく、ガソリンもなく・・・。
かなり辛い非難生活を強いられているそう・・・。
今すぐにでも行って、暖かい食べ物など届けたい気持ちに
駆られましたが、本当にライフラインが寸断されているみたいです。
自分の無力さに悔しい思いです。
「税金のことは心配しないで下さい。」
そんなつまらないことしかいえない自分が正直情けないです・・・。
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