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2010年4月26日 (月)

私の独立開業日記 その29

失敗談

 

しかし失敗もありました。
これも今だから言えるお話ですね。正直に書いてみましょうか。

 

開業してまだ数ヶ月、まだまだ売上が伸びず苦労していた頃、
事務所に仕事の依頼の電話が突然掛かってきました。
その先は所属税理士会を通して
税務署から与えられた開業相談希望のある先。
与えられたリストを必死になって駆け回った結果ではあるものの、
それでも、なかなかダイレクトに依頼の電話は少ないものです。
喜び勇んで、指定された都内のある雑居ビルの一室に駆付けてみると、
パンチパーマでサングラス、ハデな背広を着た、見るからにその筋と
分かる人が出てきました。

 

「これ申告してくれへんか。」と関西弁で出されたのは、
提出期限がとっくに過ぎていて、しかも、複雑で
手の掛かりそうな会社の資料。

 

「こういう会社はお断わりしよう。」と心の中では叫んでいたものの。
やはり売上も正直欲しかった・・・。
「今月はこれで資金繰りが少しは楽になるかもしれない・・・。」

 

さらに新米税理士としていろいろ考えました。
「こういう人を相手にしてはダメだ。オレは税理士先生だ。」
「イヤイヤ。商売に貴賎はない。
どんな方にも申告義務もある。納税者は平等だ。
人を外見から判断してはダメだ。案外よい人かもしれない・・。」

「税務署に開業届をキチンと出しているくらいだから大丈夫だろう・・・。」

若干の心の葛藤もありました。
しかし、その直後に言葉の方が先に出ていました。

 

「では決算料はこれでいいですか。」

 

「これで設備投資にもう少し資金が回せる・・・・。」
契約直後に、まだ買えていなかった設備投資を
喜んでいくつか注文していました。

 

 

それから数週間、渡された領収書の山と格闘しました。
やっとの思いで申告書を作成し、なんとか提出することができました。

 

その提出した申告書と請求書を持っていくと、
その報酬を案の定、払ってくれません。
困りました。こちらも支払いも残っています。

 

それから数ヶ月間、何度も「払ってください。」と
パンチパーマのもとへ通いました。
しかしパンチも百戦錬磨でした。
のらりくらりと一向に払ってくれる気配すらありません。

 

しかし、こちらも生活が掛かっています。
タダでは帰れません。
実はそのパンチから2件も新規先を紹介してもらいました。
そういう筋の方は結構顔も広いのですね。
でも私くらいでしょう。そういう方からお客さんを紹介してもらったのは・・。

 

しかし、パンチもやがてその事業自体が破綻したらしく、
どこかいなくなってしまいました。
当然の貸し倒れです。

 

その設備投資の支払もなかなか完済できません。
その代金は結局あとから支払うことができましたが
苦しかった思い出として今も残っています・・・。

 

 

 

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