私の独立開業日記 その9
夢を喰うバク
独立開業で一番厳しいお話をしましょう。
おカネのことです。
最初から軍資金をたんまり用意して開業する人はまれでしょう。
ご他聞にもれず私もそうでした。
正直に告白しましょう。
開業資金は退職金などで50万円ほど。
でもそれは税理士登録費用とパソコンなど買ったらあっという間に
なくなっていました。
でもそんな状況でも、日本政策金融公庫(昔の国金)に開業資金を
借りようなどとはまったく思っていませんでした。
「開業したらすぐ稼げるさ!」
もう意気込みと自信(自惚れ?)だけは万全でした。
でも、登録開業まではまさに「失業状態」です。
一方ではカネを使わないように努力もしました。
昼飯などは、いつも立ち食いそばです。
中野駅の1番線ホームに「行きつけの」蕎麦屋がありました。
「かけそば」を注文するのには、まさに小説「一杯のかけそば」みたいで、
少しみすぼらしいので、少しグレードを上げて?「天婦羅そば」を
いつも食べていました。
あまりに良く行くので、店のおばさんと顔なじみになって
内緒のお話ですが、「かやくご飯」をサービスしてもらうこともよくありました。
「がんばりなさいよ。行ってらっしゃい。」
別に身の上相談なんか一度もしたことないのに、
いつもそう声をかけてくれました。
たまに、「豪勢に?」都庁や区役所の社員食堂でも昼食を食べました。
ご存知ですか?あそこは一般にも開放されて400円も出せば
定食で腹一杯食べられるのです。
でも開業のことで夢中で、正直昼食なんかどうでもよかった・・・。
でも不思議とひもじいとか思わなかったですね。
自分は「夢を喰うバク」だと思っていました。
「開業したらあれこれしたい・・・。税理士になったらこうしたい・・・」
常に思っていました。
もう夢を見るだけでお腹が一杯なのです。
確かにハングリーだったかもしれませんが、今思えば楽しかったですね。
「貧しかったけど夢があり楽しかった・・・」
なんだか「神田川」の世界ですかね。
一生に一度くらい「バク」になってもいいと思いませんか・・・。
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