かばんの真実 その51
この遺言書の「後出しジャンケン」のお話は
大事なのでもう少しご説明しておきましょう。
民法の1023条にバッチリ定められているお話なのです。
「前の遺言が後の遺言と抵触する時は、その抵触する部分については、
後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。」
要するに、遺言の内容をいくらでもあとから書き換えられるということなのですね。
でも、この一澤家の遺言書は、やはり内容がまるっきり異なります。
第一の遺言書は三男信三郎氏を後継者とするのに対し、
第二の遺言書は長男信太郎氏を後継者としています。
これを見て
「おかしいのではないか!」
と信三郎氏が文句を言ったのも納得できます。
ただ、一澤帆布事件はどうあれ、遺言書作成の際に、
もし弁護士など専門家が作成アドバイスしていたとしたら、
「民法の規定によりあとから改定することも認められている。
ただその場合作成した私の責任もあるので、必ず連絡相談して欲しい。」
など説明するべきなのでしょう。(多分そうしたとは思います。)
そうでなければ、わざわざおカネを弁護士に支払ってまで
作成する意味がないです。
また自社株式を相続させる意味を、ご本人にもっと噛んで含んで
分かりやすく説明する必要があったのではないかとも思います。
(そう説明したとも思っています。)
また本来なら、遺言書を作成したご本人が、
「弁護士先生に遺言書の作成の面倒をかけたのだから、
今度万が一書き換える際には相談しよう。」
と思ってしかるべきお話なのです。
そういった人間関係も構築されておくべきものなのでしょう。
どうも一澤帆布事件はこのあたりが何故か欠如していたのではないかなと思います。
(これは私の個人的な勝手な意見です)
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