かばんの真実 その46
さあ!いよいよ問題の遺言書が登場しました。
そこでその遺言書の中味を見る前に、
やはりこの遺言書が作成された経緯が非常に重要だと思うのです。
三代目信夫氏自ら、これを書いておこうとしたのでしょうか。
もちろん。このあたりの真実は当事者しか預り知らないところです。
ただ、この時点で一番遺言書を書いて欲しい方は四代目信三郎氏です。
ここでハッキリしておかなければ社長の座が確保できません。
でも、ご承知のとおり、遺言書を書く方は三代目信夫氏です。
どんな経緯で遺言書を書いたかが重要です。
税理士としての経験から、
「将来のために一筆書いておこう!」
自らの意思で遺言書を書こうとする人は稀です。
誰かが
「後々困るからお父さん書いておいて。」
と頼むケースがほとんどでしょう。
その後、ご本人ではなくその親族から、
顧問の税理士か弁護士に相談することになります。
でもここが最初のポイントです。
誰かの依頼であればなおさら、その依頼者の意図が入ってしまうものです。
だからあとで問題にもなりやすいのです。
先日ある研究会で講師の弁護士が
「税理士が関わって『書かせた』遺言書はあとで揉めることが多い。」
そういっていました。
何となくそうかなと思います。
どうしてでしょうか。
つまり、依頼者が有利な遺言書になりがちだからです。
一澤帆布の場合も、もし顧問税理士が作成に関わっていたとしたら
(ここは重要なのですが、もちろん本当のところは分かりません)
やはり、クライアントである信三郎氏の立場で作成したと思うのです。
だから先ほどの講師の弁護士の発言からも納得するかもしれません。
でもそれは当然だと思うのです。
どうしても四代目は経営権を確保したかったに違いありません。
20数年間、心血注いで発展させた一澤帆布。
どうしても社長の座はゆずれないと思っていたに違いないのです。
私がもし当時一澤帆布の顧問税理士であったとしたら、
私も当然そうアドバイスしたかもしれません
一緒にその会社と苦楽を共にしてきた顧問税理士なら
当然のことでしょう・・・。
« かばんの真実 その45 | トップページ | かばんの真実 その47 »
コメント