かばんの真実 その37
贈与税のお話は、事業承継とこれからお話しする民法の改正で、
結構重要なのでもう少し続けましょうか。
贈与に関しては税理士としていろいろ経験しました。
でも本当にこれだけ嫌われる税金も珍しいですね!?
どうして嫌われるかお分かりになりますか?
他の税金、例えば所得税や法人税は、
基本的には儲けに対して課税されるので、通常は儲かっているのだから、
キャッシュがあるのですね。これで税金払えるのです。
これを難しい専門用語で「担税(たんぜい)力」といいます。
要するに課税されても払えるキャッシュが存在するのです。
(通常のお話です・・・。ここらでこの不況に喘ぐ中小企業の社長さんから
文句がでてきそうです・・・。)
でも、金銭ではなく「もの」を贈与した場合の贈与税と言うのは
「支払うべき」キャッシュはないのです。
他からおカネを持ってきて支払わなければならない・・・。
だからこそ嫌われるのですね。
特に自社株を後継者に贈与する場合は、おカネそのものは渡らないので、
その税金分のおカネをどこからかもってこなければいけない・・・。
ここが重要なのですね。お分かりになりますか。
財産をもらう人が税金を支払うのですね。
つまりオヤジが後継者の息子に自社株を贈与した場合、
税金を払うのは息子なのですね。息子がおカネを一杯持っていれば
いいでしょうけど、通常はオヤジの方がおカネ持っているはずですよね。
これ当たり前のことだと思われるかもしれませんが、
でも海外の場合では、贈与する人が課税されるところもあるのです・・・。
オヤジが税金払うのならやりやすいのですね。
(この制度を利用(悪用?)した相続対策のお話はまたいつか・・)
結局、日本の場合は後継者に自社株を贈与するのには、
同時にキャッシュも贈与してやる必要があったりして、
この納税資金の面から、やはり承継がうまくいかない場合が
多かったのですね。
一澤帆布の場合も、いろいろ対策を講じてみたようでしたけど
以前アップしたように4代目には、
結局26.6%しか生前贈与されなかったのです・・・。
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