かばんの真実 その27
15年位前のお話なのですが、
以前新宿のある会計事務所に勤めていたことがありました。
私のつらく苦しかった修行時代のお話です。
その事務所は近隣の商店主がメインの顧客でした。
新宿西口は今では高層ビルで有名ですが、
戦後は駅前に広い空き地と、かつては浄水場なんかもありました。
そのあたりでご自分の土地をもって商売をされていたお客さん達は、
戦後商法が改正されて、皆こぞって会社を設立していました。
バブルの頃、新宿地区はまさに地上げの対象にもなり、
土地が高騰しました。多くは売却され買い替えなど税法上の特例を使って
郊外に移転していきました。
しかし、問題なのはその土地の上で代々商売をやっていた方々です。
個人で所有している土地が高騰しているのですが、
会社で建物を所有していたから、難しい問題が起きてしまいました。
どういう問題が発生したかお分かりですか。
会社に借地権という目に見えない巨額の財産が生じてしまったのです。
借地権というものは、税務上大変難しいお話です。
これはまた、いずれブログネタ(!)なのですが、
簡単に言えば、「建物を会社名義で持っていると
土地を所有しているのと同じくらいの値段に評価されてしまう」
のです。
私の担当している会社は皆これに悩んでいました。
普通の会社でも、株価を正式に評価すると
10億円以上にもなってしまうケースが本当にありました。
バブルの頃「相続破産」という言葉がありましたが、
まさにそれに該当するような会社ばかりでした。
一澤帆布のように利益が出続けて株価があがるのではなく、
その所有する財産(ここでは借地権)が値上がりして
結果的に会社の株価が上がってしまったお話です。
« かばんの真実 その26 | トップページ | かばんの真実 その28 »
コメント